ポスト待機児童時代 受け皿整備抑制か、多様な受け入れか

 今年4月1日時点の待機児童数が3年連続で過去最少となったことを受け、内閣府の子ども・子育て会議では10月11日、委員から今後の保育所の在り方に関する意見が相次いだ。多くの自治体で待機児童が解消され、定員充足率が低下している状況から、委員からは「ポスト待機児童時代に入った」という指摘が出され、今後の受け皿整備を抑制すべきだという声の一方、多様な家族に門戸を開く必要性を指摘する委員もいた。

野田少子化担当相(手前)も参加した10月11日の子ども・子育て会議

 厚労省が8月に公表した集計によれば、今年4月1日時点の待機児童数は5634人で、前年から6805人減り、3年連続で過去最少を記録した。全国の市区町村のうち、8割超の市区町村では待機児童を解消しており、待機児童数が50人以上の自治体は20自治体、100人以上の自治体は4自治体まで減少している。

 その要因として厚労省の担当者は、保育所などの新規開設、増改築、定員の拡大など受け皿整備に加え、新型コロナウイルスの感染を懸念した利用控えがあったと分析。2020年に低下した女性就業率が21年には上昇に転じていることを踏まえ、「保育ニーズも再び増加する可能性があり、注視が必要」と指摘した。

 これについて手島恒明委員(日本経済団体連合会人口問題委員会企画部会長)は「コロナの影響が出生数に強く現れるのは今年度以降。婚姻数の動向も踏まえ今後、出生数が大きく減少するのではないかとの指摘もある。利用控えが解消されたとしても、保育ニーズが想定通り増加するかは注視していく必要がある。各自治体には今後の保育需要を踏まえ、過剰な整備につながらないような対応をお願いしたい」と述べた。

 一方、駒崎弘樹委員(NPO法人全国小規模保育協議会理事長)は、保育所の定員充足率が約90%と年々低下している状況を踏まえ、「ポスト待機児童時代に入った」と指摘。「これまでキャパシティーがなく受け入れられなかった在宅子育て家庭やフリーランスワーカー、社会復帰したいが事情により就労先が見つからない家庭など、必要要件を満たしづらい家庭の子供も受け入れてはどうか」と提言した。

 「在宅子育て世帯に保育は必要ないかというと、そんなことはない。共働き世帯に比べてサポートが少なく、孤立や虐待などの問題を抱えている。現状の一時預かりは、自治体が導入に消極的である、補助金が十分でないなどの課題がある。フルタイム・共働き世帯が利用する保育所という前提を見直し、保護者の就労形態や就労の有無に関わらず、誰もが利用できる『みんなの保育園』に変更すべきだ」と訴えた。

 また徳倉康之委員(NPO法人ファザーリング・ジャパン理事)は「多様な親の働き方、多様な家族形態が出てきており、それに即した受け入れを開放していただきたい。その中で保育の質が高く、人の集まってくる施設に処遇改善の加算をしていく動きが必要だ」と指摘した。

 また、岸田文雄首相が所信表明演説などで掲げた「保育士の処遇改善」の実現を訴える声が多くの委員から寄せられた。木村義恭委員(全国認定こども園連絡協議会会長)は「日々の教育・保育の準備など専門職としての激務に加え、感染拡大予防作業により疲弊しきっているのが教育・保育現場の実情。誰もが目指したくなる職種への地位向上へつながるような、特段のご配慮をお願いしたい」と要望した。

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