教育DXで学びが変わる デジタル庁のキーパーソンが議論

 デジタル庁の発足に伴い創設された「デジタルの日」にちなみ、「未来の教室」事業に取り組む経産省とデジタル庁は10月10日、「教育DXで、子どもたちの学びはどう変わる?」をテーマにしたオンラインイベントを開催した。同事業の実証事業の事例を踏まえ、デジタル庁の教育施策に関わるキーパーソンが、DXで変わる教育のイメージを語り合った。

教育のDXをテーマに議論するオンラインイベント(YouTubeで取材)

 イベントの冒頭で、「未来の教室」事業を担当し、デジタル庁参事官も兼ねる浅野大介・経産省サービス政策課課長・教育産業室室長は、デジタル庁の創設について「公共政策が進化を遂げていく上では、協創と競争が必要だ。これまでも文科省と一緒に言い合える関係ができてきていたが、それが今度、デジタル庁によってみんなが集える場ができた。企業から参画の皆さん、アカデミアから参画の皆さんの力を借りて、より一層面白いことができそうだ。同僚として一枚の絵を描いていこうというフェーズにある」と説明。教育のDXが新たな局面を迎えようとしていることに期待を寄せた。

 この日のイベントでは、「未来の教室」事業の実証事例として、AIドリルを活用した個別最適化された学びの実現や、プログラミング教育によるSTEAM学習の展開などの発表の後、進捗(しんちょく)中のプロジェクトとして、カタリバによるオンラインを活用した不登校児童生徒の支援の取り組みが報告された。

 カタリバの今村久美代表理事は、年々増加する不登校児童生徒に対して、公的な支援が絶対的に不足しているだけでなく、住んでいる地域や経済状況などで支援を受けられない家庭があることを問題視。「家庭にアウトリーチしながら家族を孤独にしないという方法と、オンラインでできることを全てやる。これを組み合わせながら、リアルの支援者と手をつなぎ、子どもたちや家庭を孤独にしないようにどこまでやれるかということで、オンライン教育支援センターのDX施策に取り組んでいる」と、プロジェクトの全体像を紹介した。

 具体的には、インターネット上に資格を持ったコーディネーターを組織し、カタリバにつながった段階で学校や家庭と個別の支援計画を立案。その上で若手のキャストと呼ばれるスタッフが子どもたちに伴走しながら、オンライン上で学習支援を行っているという。今村代表理事は「有資格者や良い支援者がいないという自治体もある。リアルで見つけようとするとフルタイムが前提となり雇えないかもしれないが、オンラインで募集すると、『在宅でできるなら』とたくさんの人から申し込みがある」と、支援人材の確保の面でのメリットも強調した。

 この取り組みについて、デジタル庁のデジタルエデュケーション統括を務める教育経済学者の中室牧子・慶應義塾大学教授は「不登校児童生徒の情報が把握できないことで、効果のある対策ができなくなる。オンラインを使ってリーチしていこうという発想が重要だ。対面でやろうとすると、距離が離れていると、直接会うことには限界がある。オンラインでは距離による時間的制約が突破できる。不登校は増加の一途なのに有効な対策を政府が打てなかった。民間事業者が食い込んで新しい事業を展開しているのは、アプリシエイト(評価)すべきことだ」と応じた。

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