日本語教育の参照枠や教師資格を了承 今後の施策具体化

 文化庁の文化審議会国語分科会は10月12日、第78回会合をオンラインで開き、日本語教育小委員会で審議されていた、日本語を母語としない人が日本語を学ぶための「日本語教育の参照枠」の報告案について了承した。合わせて、日本語教師の資格制度の導入について具体的な方針をまとめた、日本語教師の資格に関する調査研究協力者会議の報告書についても検討し、日本語教育を巡る今後の具体的な施策の形が固まった。

今後の日本語教育の施策を具体化した国語分科会第78回会合(YouTubeで取材)

 「日本語教育の参照枠」は、「ヨーロッパ言語共通参照枠」(CEFR)を参考に、日本語を母語としない人が日本語を学習する際の基準を一覧にしたもので、日本語が基礎段階にある言語使用者のレベルをA、自立した言語使用者のレベルをB、熟達した言語使用者のレベルをCとし、さらにそれらを二分割した6レベルで整理。「聞くこと」「読むこと」「話すこと(発表)」「書くこと」「話すこと(やりとり)」の各言語活動について、日本語を使ってできることを具体的な文章(Can Do)形式でリスト化したほか、日本で生活する人にとって最低限必要な基礎漢字表を策定した。

 また、昨年3月に同分科会で取りまとめられた「日本語教師の資格の在り方について(報告)」を踏まえ、日本語教師の資格制度の設計について検討した調査研究協力者会議の報告書では、国家資格としての「公認日本語教師(仮称)」を取得するには、日本語教育の基礎知識をみる試験と日本語教師としての現場対応能力をみる試験にそれぞれ合格し、日本語教師養成機関での教育実習の履修・修了を課すこととした。その一方で、当初盛り込まれていた10年ごとの更新講習や、学士以上の学位の取得などの要件は見送られることになった。

 これらについて、出席した委員からは「明言されていないが、公認日本語教師が対象とする学習者は成人を念頭に置いたものと理解している。年少者は大人に対する教え方と違って専門性が高い。大人の教え方が分かっているから年少者ができるとは必ずしも言えない。この部分の共通認識は持っておかなければいけない」「日本語の参照枠も日本語教師の資格も、現状の何が課題で、どういったものが望ましいのか、エビデンスやデータがほとんどない。今後、改善をしていくためのデータやエビデンスは必ず必要になる。ぜひ省庁横断、政府全体で、共生社会の中で外国人をどう受け入れて、日本語教育をどうするか。包括的議論をするための調査を定期的に行うことを検討していただきたい」などの指摘が出た。

 文化庁では今後、日本語の参照枠については活用の手引きなどを作成し、日本語教育の現場への普及を進めていく。日本語教師の制度化に向けても、来年の通常国会を視野に法整備を行う方針。

 この日の会合ではこの他に、国語課題小委員会のこれまでの議論で出た主な意見も紹介され、中には学校教育における常用漢字表の在り方や電子機器での文書作成による影響などを指摘するものもみられた。同小委員会では今年度中に中間報告を出し、来年度中に最終報告を取りまとめるスケジュールを想定している。

あなたへのお薦め

 
特集