オンライン授業「出席停止」見直しを提言 指定都市市長会

 全国の20政令市で作る指定都市市長会は10月12日、新型コロナウイルスへの感染不安からオンライン授業を受けた場合、「出席停止・忌引き等」として取り扱われることについて、児童生徒や保護者に戸惑いや不満があるとして、文科省に取り扱いの見直しを求める緊急提言を行った。同省に申し入れを行った清水勇人・さいたま市長は「『出席停止』という表現では、オンライン授業がプラスのイメージにならない。対面授業が一番いいのは当たり前だが、緊急事態の中、学びの場を確保する選択肢としてオンライン授業があることが、真っすぐに保護者に伝わってほしい」と述べ、出席停止という呼び方を含め、取り扱いを見直す必要を訴えた。

文科省で取材に応じるさいたま市の清水市長(左)と細田教育長

 清水市長は同日午前、細田眞由美教育長とともに文科省を訪ね、鰐淵(わにぶち)洋子・文科大臣政務官に緊急提言を手渡した。

 提言では、コロナ禍でのオンライン授業の出欠について「出席扱いとする地方自治体もあれば、国の通知に基づき出席停止扱いとする地方自治体もあるなど、対応が分かれているのが現状である」「感染拡大を防ぐためのより確実な手段としてオンライン授業を希望する家庭からは、他の児童生徒と同様に授業を受けているのに、なぜ出席停止という対応になるのかといった戸惑いや、他の地方自治体との取り扱いの違いに対する不満の声も寄せられている」と指摘。文科省に対し、「戸惑いや不満がある児童生徒および保護者がいることを踏まえ、一定の要件を示した上で、出席停止とは異なる対応とする」ことを検討するよう強く求めた。

 鰐淵政務官との面会後、取材に応じた清水市長は「(自治体によって出欠の扱いが)ダブルスタンダードになってしまっている。子供たちの受験などを考えると、全国的な統一された基準が望ましい」と述べた。

 さいたま市の公立学校では、緊急事態宣言が発出される中、二学期のスタートから対面とオンラインを並行させて授業を進めてきた。こうした経験を踏まえ、清水市長は「コロナ禍のいま、学校で感染する可能性があるという不安を抱えながら、子供たちは登校している。不安が非常に強い場合には、欠席扱いであっても(子供を)休ませる親もいる。オンライン授業を受けることが、完全な出席ではないけれど、出席に近い扱いをされ、それが不利益にはならないと知ってもらうことが、教育の場を確保することにつながっていくと思う」と説明。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象区域では、オンライン授業が学びの保障に有効な手段であることを強調した。

 その上で「ただ、『出席停止』という表現になることで、オンライン授業がプラスのイメージにならない。文科省の通知を受けて、私たちも(出席停止扱いであっても)影響はありませんよ、と言っているが、保護者にとっては不安であったり、あるいは『授業に出たことにならないのだったら、何としても学校に行く』と翌週から(子供が)学校に出てきた家庭もあったりする」と問題点を指摘。

 「(オンライン授業の出欠の取り扱いについて)表現や分類の仕方、前向きの言葉を使ってもらうだけで、だいぶ違うと思っている。対面授業が一番いいのは当たり前というスタンスだが、緊急事態の中、学びの場を確保する選択肢としてオンライン授業があることが、真っすぐに保護者に伝わってほしい、という思いでいる」と、提言の狙いを説明した。

 細田教育長は「対面授業が絶対基本だと思っている。コロナ禍の緊急事態に限ってオンライン授業も選べるようにした。教室で受けている対面授業とそんなに変わらない授業をリアルタイムにインタラクティブに受けているにもかかわらず、片や出席で、片や出席停止という、その扱いについて、多くの保護者や子供自身、納得がいかない。この一点だ」と説明。「出席ではなくても、出席停止という言葉ではない扱いでやっていきますよ、と言えたらいい」と述べ、オンライン授業の出欠について出席停止・忌引き等とは別の言葉で指導要録に記録するべきだとの考えを示した。

 清水市長によると、文科省の担当者は「(出席停止・忌引き等の)表現も含め、現場からいろいろな声があることを踏まえ、対応を考えていきたい」と応じたという。

 これまでの文科省の通知に沿うと、登校による対面授業に出席すれば、通常と同じく出席扱いになるが、オンラインで授業を受けた場合には、やむを得ず登校できなかった児童生徒として扱われる。指導要録上は「出席停止・忌引き等」として記録され、欠席扱いにはならない。授業を受けたこと自体は、オンライン授業であっても、校長が認めれば、「特例の授業」として指導要録に記録されることになる。さらに10月1日付の通知では、オンライン授業を受けた日数を指導要録の「出欠の記録」の備考欄にも記入することとし、調査書に転記する際、オンライン授業を受けていたことが明確に分かるようにした。入試での不利益が生じないよう、大学・高校入試で作成する調査書には、出欠の記録に関する事項のうち「出席停止・忌引き等の日数」と、それが推測できる「授業日数」を記載しないことも通知した。

 しかし文科省は、オンライン授業について、対面授業と同じ出席扱いにはしない、との基本的な立場は変えていない。その理由について、同省では「学校教育は教師と児童生徒との関わり合いや児童生徒同士の関わり合いなどを通じて行われる。義務教育は原則として通信制で代替できるものではなく、学校に登校しなくてもいいことにはならない」(初等中等教育局教育課程課)と説明している。小中学校におけるオンラインを活用した授業は、感染症や災害発生時など対面授業ができない非常時に限定して行われるほか、不登校や病気療養などやむを得ない理由で登校できない児童生徒に対する学びの保障の手段として活用される、としている。

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