子供の性被害対策、保育士や塾講師も対象に 岸田首相

 岸田文雄首相は10月13日、参院本会議の代表質問で、子供の性被害に関連して、保育士や塾講師などの子供と接する職種についても「性犯罪歴がないことの証明書を求めることを検討する」として、日本版DBS(Disclosure and Barring Service)の導入に積極的な姿勢を見せた。子育て世帯への住居費の支援では、「住宅取得、リフォーム支援、入居可能な賃貸住宅ストックの拡大など、子育てしやすい住環境整備に係る支援の充実・強化」と具体的な内容を挙げるとともに、生活困窮世帯に対して「住居を確保し給付金に万全を期す」と説明。高等教育無償化の中間層への拡充では「中間所得層の進学の状況等を見極めつつ、機会均等の在り方について検討していく」と述べた。

 この日の代表質問では、公明党の山口那津男代表や、国民民主党の大塚耕平代表代行らが、教育政策や子育て支援などを取り上げた。衆院が10月14日に解散されるため、衆院選(19日公示、31日投開票)に先立つ国会論戦はこの日が最後となった。

 山口代表は、教育の負担軽減に絡み、幼児教育・保育の無償化や、高等教育の修学支援を踏まえ、「今後は中間所得世帯も含めた教育費の無償化を段階的に拡充すべきと考える」と指摘。子供の性被害については、先の国会で議員立法が成立したわいせつ教員対策を受け、「保育士や塾講師などの子供と接する職種においても、わいせつ行為の対策強化の検討を求める」として、首相の見解をただした。

与野党の代表質問を聞く岸田首相(参議院インターネット審議中継より)

 岸田首相は「子供たちの誰もが家庭の健康、経済事情に関わらず、質の高い教育を受けられるチャンスが平等に与えられ、個性や能力を最大限伸ばせるようにすることが必要。教育費の負担軽減については、安定財源を確保しつつ、幼児教育・保育の無償化や私立高校の実質無償化、高等教育の無償化を着実に実施してきた」と前置きした上で、「高等教育の無償化の中間層への拡充については、その実施状況の検証を行い、中間所得層の進学の状況等を見極めつつ、機会均等の在り方について検討していく」と述べ、財源問題をにらみながら検討としていく姿勢を見せた。

 また、子供の性被害については「被害者の尊厳を著しく踏みにじり、その心身に長期にわたり重大な悪影響を及ぼすものであり、断じてあってはならない」とした上で、「教育・保育施設等や、子供が活動する場で働く際に、性犯罪歴がないことの証明書を求めることを検討するなど、保育士や塾講師等の教員以外の子供と接する職種についても、子供を性被害から守る取り組みを進めていく」と、日本版DBSの導入を検討する考えを示した。

 DBSは、子供に対する性犯罪被害の防止を目的に、性犯罪歴がないことを公的機関が発行する「無犯罪証明書」で証明できる制度。英国ですでに導入されており、日本では昨年7月、保育士や教員から性的被害を受けた児童の保護者らの訴えを受けたNPO法人フローレンスが制度創設を提唱。同年12月には自民党の野田聖子衆院議員(現少子化担当相)らが当時の上川陽子法相に日本版DBSの創設を要望している。

 大塚代表代行は、首相が所信表明で、大学卒業後の所得に応じて「出世払い」を行う仕組みを含め、教育費や住居費への支援を強化すると述べたことについて、具体的な説明を求めた。また、3歳からの義務教育化と教育無償化を掲げ、教育国債を新設して財源とする国民民主党の提言について、首相の受け止めを聞いた。

 岸田首相は「教育無償化は、消費税引き上げの使い道を変更し、幼児教育・保育の無償化、大学の無償化を、財源を確保しながら実現している。今後、大学卒業後の所得に応じて返還を行う、いわば『出世払い』の仕組みを含め、教育費、住居費の支援を強化していく」と取り組みを説明。住居費支援の具体策について「子育て世帯の住宅取得、リフォーム支援、入居可能な賃貸住宅ストックの拡大など、子育てしやすい住環境整備に係る支援の充実・強化に加え、生活困窮世帯への住居を確保し、給付金に万全を期すことで、子育て世帯を支えていく」と述べた。

 教育国債の発行については「安定財源の確保、あるいは財政の信認確保の観点から慎重に検討する必要があると認識している」と否定的な考えを示した。

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