【問題行動調査】児童生徒の自殺が最多 理由不明が半数超

 2020年度に小中高から報告のあった児童生徒の自殺者数が415人となり、調査開始以来最多となったことが10月13日、文科省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で明らかになった。自殺した児童生徒の数は小学校7人、中学校103人、高校305人。自殺の背景は「不明」が半数を超えて最多となり、対応の難しさが課題となっている。文科省は、「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」が今年6月に取りまとめた対策を踏まえ、自殺予防に向けた取り組みを進める。 

児童生徒の自殺の状況推移

 自殺した児童生徒の内訳を見ると、学年が上がるにつれて人数が多くなっている。男女別に見ると、男子が224人、女子が191人だった。また児童生徒が置かれていた背景は、家庭不和、精神障害、進路問題などさまざまで、「不明」も多かった。

 文科省の江口有隣(ありちか)児童生徒課長は「児童生徒の自殺予防に関する調査研究協力者会議」が取りまとめた審議まとめを踏まえ、「もともとあった原因が、コロナ禍で増幅した要素があったほか、学校や家庭環境の変化などが考えられる。また近年、精神疾患を含め専門的な対応が必要な児童生徒が増加しているのも一因だ」と説明する。

自殺した児童生徒が置かれていた状況(国公私立)

 協力者会議の審議まとめでは、自殺の原因・動機として「進路に関する悩み(入試に関するものを除く)」「学業不振」「親子関係の不和」が例年上位に上がることを指摘している。加えてコロナ禍では、「『ステイホーム』が家庭内の過密化を引き起こし、以前から潜在していた家族内葛藤を浮き彫りにした」という家庭環境の変化があったとしている。

 さらに学校でも「休み時間や放課後での友人や学級担任等との交流など、何気ない日常が失われたことで『息抜きの場所』を失い、子供たちの成長に寄与する『自分を支える場所』が大きく変化してしまった」「学級担任や養護教諭などの教員、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーへの相談を難しくしてしまった」と分析する。

 こうした背景を踏まえ、文科省は6月29日に「SOSの出し方に関する教育を含めた自殺予防教育の推進」「悩みや不安を抱える児童生徒の早期発見・対応へ向けたICTの活用」を求める通知を発出。自分の心の危機に気付く、他者に援助を求めることの重要性を知るなどの予防教育ほか、GIGAスクール構想で整備された1人1台端末を用いた教育相談体制の構築などに取り組むよう求めた。

 さらに今回の調査結果を踏まえ、文科省は21年度、児童生徒の自殺予防に向けた取り組みを促進するための行政説明を全国10ブロックで行い、自殺予防に関する理解を深めるとしている。

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