【問題行動調査】 いじめ認知件数、コロナ禍で7年ぶり減少

 学校における2020年度のいじめ認知件数が51万7163件となり、前年度に比べ9万5333件(15.6%)減少したことが10月13日、文科省の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」で明らかになった。児童生徒1000人当たりの認知件数は39.7件(前年度46.5件)だった。いじめ認知件数が減少したのは、2013年度以来7年ぶり。新型コロナウイルスの感染拡大によって、学校活動が制限され、児童生徒間の接触が減ったことが理由とみられる。ただ、スマートフォンなどを使ったいじめは増加傾向が続いている。児童生徒の生命にかかわる重大事態の発生件数は514件で、前年度(723件)より209件(28.9%)減少した。

グラフ1:いじめ認知件数の推移(年度)

 いじめ認知件数を校種別に見ると、▽小学校 42万897件(前年度比6万3648件減、13.1%減)▽中学校 8万877件(同2万5647件減、24.1%減)▽高校 1万3126件(同5226件減、28.5%減)▽特別支援学校 2263件(同812件減、15.9%減)=グラフ1参照。児童生徒1000人当たりの認知件数を校種別に見ると、▽小学校 66.5件(前年度75.8件)▽中学校 24.9件(同32.8件)▽高校 4.0件(同5.4件)▽特別支援学校 15.9件(同21.7件)=グラフ2参照。それぞれ、全ての校種で減少となった。

グラフ2:児童生徒1000人当たりの認知件数の推移(年度)

 いじめを認知した学校数は2万9001校で、学校総数の78.9%(前年度比3.7ポイント減)を占めた。1校当たりの認知件数は14.1件(前年度16.5件)だった。学校種別に見ると、いじめを認知した学校数は▽小学校 1万6971校(学校総数の86.4%、前年度比1.8ポイント減)▽中学校 8485校(同じく82.2%、同4.1ポイント減)▽高校 3080校(同じく54.5%、同9.6ポイント減)▽特別支援学校 465校(同じく40.5%、同5.0ポイント減)。1校当たりの認知件数は▽小学校 21.4件(前年度24.4件)▽中学校 7.8件(同10.3件)▽高校 2.3件(同3.2件)▽特別支援学校 2.0件(同2.7件)――となった。認知されたいじめのうち、年度末時点で「解消している(日常的に観察継続中)」とされたものは77.4%だった。

 いじめの態様別で見てみると、パソコンや携帯電話を使ったいじめは1万8870件で、前年度の1万7924件に比べて946件増え、いじめ認知件数が減少しているにも関わらず、7年続けて増加した。いじめの態様別を複数回答で調べたところ、▽冷やかしやからかい、悪口や脅し文句、嫌なことを言われる 30万4111件▽軽くぶつかられたり、遊ぶふりをしてたたかれたり、蹴られたりする 11万3919件▽仲間はずれ、集団による無視をされる 6万7786件▽嫌なことや恥ずかしいこと、危険なことをされたり、させられたりする 4万5578件▽ひどくぶつかられたり、たたかれたり、蹴られたりする 2万9546件▽金品を隠されたり、盗まれたり、壊されたり、捨てられたりする 2万6600件▽パソコンや携帯電話等で、ひぼう・中傷や嫌なことをされる 1万8870件▽金品をたかられる 5096件▽その他 2万4718件――だった。

 いじめ認知件数を47都道府県と20政令市の計67自治体で見てみると、児童生徒1000人当たりの認知件数は▽新潟市 214.6件▽仙台市 139.4件▽大阪市 114.3件▽山形県 114.0件▽宮崎県 88.3件▽大分県 80.9件▽新潟県 77.1件▽山梨県 74.2件▽京都府 70.9件▽茨城県 68.9件--の順に多かった。

 いじめ認知件数が減少した理由について、同省初中局児童生徒課の江口有隣(ありちか)課長は「新型コロナの影響で生活環境が変化し、児童生徒間の物理的な距離が広がった。あるいは日常の授業におけるグループ活動、学校行事など、さまざまな活動が制限され、子供たちが直接対面してやりとりする機会が減った。年度当初に地域の一斉休校もあり、例年よりも授業日数が少ない学校もあった。新型コロナで差別や偏見が起きないようにする学校の目配りも行われていた。これらが影響したのではないか」と、コロナ禍による学校活動の制限が背景にあるとの見方を説明。「発見できていないいじめが存在している可能性もある。引き続き、いじめの早期発見、積極的な認知、早期対応に取り組んでいくことが重要」と述べた。

グラフ3:いじめ重大事態の発生件数の推移(年度)

 また、いじめ防止対策推進法に基づくいじめ重大事態の発生件数は514件。前年度(723件)より209件(28.9%)減少した=グラフ3参照。このうち、児童生徒の生命や心身に重大な被害が生じる恐れがあるとされる第1号重大事態は239件(前年度301件)、いじめが原因で児童生徒が長期間にわたって学校を欠席している第2号重大事態は347件(同517件)だった。いじめ重大事態の発生件数を校種別で見ると、▽小学校 196件(前年度259件)▽中学校 230件(同334件)▽高校 84件(同124件)▽特別支援学校 4件(同6件)--だった。江口課長は「件数は減少しているが、まだ500件もある。引き続き、憂慮すべき状況と考えている」と話している。

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