探究学習支える人材確保、社会人登用の道筋探る 3府省WG

 子供たちの探究力の育成などに向けた具体策を検討する、文科省など3府省で作るワーキンググループ(WG)の2回目の会合が10月14日、内閣府で開かれ、子供たちの探究学習を支える「人材の確保と再配分」について議論が交わされた。委員からは「大学や企業などの人材を子供の学びに生かす効果は大きい。そうした機関と学校をつなげるコーディネーターが必要だ」、「社会人を登用する制度の弾力化や活性化とともに、産業界の働き方改革と連動することで、産業界が教育に取り組む道が開ける」など、外部人材を積極的に活用するための環境整備が必要だと指摘する意見が相次いだ。

子供たちの探究力を育てるための具体策を議論した3府省のWG

 この会議は、子供たちの探究力の育成やSTEAM教育の推進に向けた具体策を検討するため、文科省と内閣府、経産省の3府省で設置。同日は子供たちの探究力などを育てるために必要な教育環境の整備のうち、「人材の確保と再配分」をテーマとして、各委員が意見を述べた。

 はじめに事務局が、子供たちの探究力育成や外部人材活用に関する取り組みを紹介。理数分野に強い意欲を持つ小中学生に大学などが特別プログラムを提供する「ジュニアドクター育成塾」が各地で実施されていることや、茨城県で公立学校長を広く公募したところ倍率が320倍に上ったことを紹介し、「学校外でも潜在的に学校教育への思いがある方が多い」などと述べた。その上で論点として、大学や民間企業などが探究力育成に参画するエコシステムの形成や、多様な人材が学校教育に参画できるような仕組みづくりなどを挙げた。

 これを踏まえて各委員が意見を述べ、岩本悠委員(地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)は「多様な主体や人材を子供の学びに生かすことは相乗効果が大きいと思う。しかし連絡調整を教員が担うと負担が重くなるので、コーディネートを担う人材を配置して、教員の時間はしっかり確保すべきだ。3年前に行った全都道府県教委へのアンケートでも43都道府県がコーディネーターは必要だと答えており、国が財政面や制度面の条件整備を進めることが大事だ」と述べた。

 また、今村久美委員(認定NPOカタリバ代表理事)は、岩手県大槌町の県立大槌高校に派遣しているコーディネーターの活動に触れ、「生徒の探究力をどう進めようかと地域を見渡したら東京大学の研究所があった。漂着ごみの研究に参加した生徒たちが目を輝かせて本気で探究に取り組んでいる。さまざまな現場に子供たちが挑むことの価値を感じている」と、外部機関との連携の成果を紹介した。また、不登校の子供たちなどをオンラインで支援するコーディネーターを募ったところ、募集人員の数倍から数十倍の応募があったことも紹介し、「ジョブ型で募集することで、いろんな外部人材を教育現場で活用できるのではないか」と述べた。

 産業界の立場から、佐藤康博委員(みずほフィナンシャルグループ取締役会長)は「社会人の登用という点で特別非常勤講師制度などがあるが、さらに弾力化、活性化するには、産業界の働き方改革との連携も必要になってくる。今は産業界全体で社員の生きがいを追求する働き方改革が進んでおり、(教育現場への)社会人登用を(企業が)兼業や副業を認める動きとつなげることで、産業界が教育に取り組む大きな道が開ける可能性がある」と述べた。

 座長の藤井輝夫委員(東京大学総長)は「教育と社会の壁が高いゆえだと思うが、個別のアクティビティがバラバラに行われている印象がある。俯瞰的な視点でしっかり見た上でどこにどんなリソースが必要なのか整理したい。大事なのは社会全体で教育に関わっていくことであり、そういう視点でさらに議論を進めたい」と締めくくった。

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