野田少子化相インタビュー 「担い手増が教育格差を減じる」

 野田聖子少子化担当相は10月15日、教育新聞社などのインタビューに応じ、いわゆる「こども庁」の設置について、「人口減少を止め、この国で子供を産み育てることはいいことだというムーブメントを起こす場所にしなくてはならない。若い人たちが、この国であれば、『こども庁』があれば、安心して自分も子供を産み育てられるという認識を持ってもらえる役所としたい」と抱負を語った。また、教育格差の解消に向けて、等しく教育を受けることができる環境整備が必要だとして、「岸田総理も子供や人への投資をはっきり打ち出している。担い手を増やすことが教育格差を減じる一番の原動力になる」と述べ、子供を支える人材確保に力を入れる姿勢を示した。

 野田氏は、衆院岐阜1区選出。岐阜県議を経て1993年の衆院選で初当選し、現在9期目。旧郵政相や消費者行政担当相、総務相などを歴任し、昨年9月からは党幹事長代行を務めていた。

インタビューに応じる野田少子化担当相

 野田氏はインタビューの中で、「こども庁」について、「少子化が進む中で子供たちがさまざまな事故や事件に巻き込まれており、子供を中心に置いた政治に切り替えていかないと日本そのものが成り立っていかない。子供にしっかり手が届く権限を持たせる役所としたい」などと抱負を述べた。その上で「若い人たちが、この国であれば『こども庁』があれば安心して自分も子供を産み育てられるという認識を持ってもらえるような役所にしたい。それが一番大事だ」と述べ、「こども庁」への思いを強調した。

 また、教育格差の解消に向けては「どういう家庭環境であれ、きちっとした教育を受けられるということを、次の時代を担う子供たちに残すことが重要だ。これまでは箱や機械に予算が優先されがちだったが、令和の時代は人にお金を、ソフトに予算を投じていくことが大切だ」と語り、子供を支える人材の確保に向けて意欲を示した。

 インタビューの主な内容は次の通り。

――コロナ禍で少子化が進んでいることの受け止めと、対応策についての考えは。

 出生数が減っているのはここ数年の現象ではなく数十年から始まっているが、その認識が政治や霞が関の中でも足りていないのではないか。私は一点集中で取り組んできたが、問題は母子問題だけに焦点を当てて取り組んできたため、効果的な結果を出せなかったこと。国全体のありようが妨げになってきたのではないか。むしろ危険なのはコロナ禍だからと特定してしまうことで、平時から減ってきたことを常に念頭に置いておかないと、抜本的な少子化対策ができない。一方で対策はいくらでもあり、やるかやらないかというだけのことで、「こどもまんなか」やこども庁という言葉を365日言い続けることで、少子化対策、人口減少の解決に当たりたい。

――「こども庁」に関して、司令塔の機能に加えて「こども庁」ならではの独自施策が注目されているが、現時点でどんなアイデアがあるか。

 「こども庁」を作るということは、この国の10年20年先の目標が決まるということ。かつて消費者庁を作った理由は、消費者被害が多く、この国を壊していくからという明確な理由があった。「こども庁」のスタートは、大切に育てなければならない子供たちがさまざまな事故や事件に巻き込まれている中、子供を中心に置いた政治に切り替えていかないと、日本が成り立っていかないところが大きいと思う。大事なことは、まず目の前の危機を回避させてあげること。今の制度が悪いのか法律が悪いのか。それとも人が足りないのか。基本的には手数が足りないことが子供の事案で多いので、今あるものを膨らましていくこと、今あっても底抜けしていることに、しっかりと手が届くような権限を持つ役所としたい。

――「こども庁」をどんな組織にするか、現時点で考えている体制や機能などについてのイメージや考えは。

 一番大切なことは、どういう家庭環境であれ、きちっとした教育を受けられるということを、次の時代を担う日本人たる子供たちに私たちが残すことだ。「こども庁」では、まずは人口減少を止め、この国で子供を産み育てることはいいことだとムーブメントを起こす場所にしなくてはならない。これからの若い人たちが、この国であれば、「こども庁」があれば、安心して自分も子供を産み育てられるという認識を持ってもらうことが一番大事だ。その次に、やはり教育が世の中を作っていくわけで、それを「こども庁」の大きな柱にしていかなければいけない。

――「こども庁」にはどんな人材を集めたいと考えているか。

 かつて消費者庁をつくったときもすがすがしく働けたのは、本当に熱い思いを持っている人たちがいたこと。これでこの国を幸せにしたいという思いを持つチームがあった。「こども庁」も同様に、自分たちがここで頑張れば、子供たちの笑顔がたくさんこの国に戻ってくるんだという、そういう心根で取り組んでいただける方であれば最高だと思う。

――自民党総裁選では候補者4人とも、子供を含む家族を支援する政府予算を倍増することに賛成していた。来年度の子育て関連予算の要求でどんなことを進めたいと考えているのか。

 総裁選で本当によかったと思うのは、最初の頃は子供関連のことを訴えていたのは私だけだったが、討論会を繰り返す中で、おおむね「こども庁」に岸田総理や河野太郎さんも賛成し、高市政調会長も選挙公約でしっかり子供については残してくれた。そこが今の自民党のスタンスということであり、今まで子供というと後回しにされていたが、好機を迎えていると思う。しっかり実を取っていきたい。

――子供の貧困に関連して、親の収入格差が教育格差につながるとの指摘があるが、改善策や大臣の考えは、

 1つの要因であることは否定しないが、それが全てではないわけで、どう補うかが私たちの仕事だと思っている。まず皆さんが当たり前に学校に行ける。幼児教育も今は任意だが、みんなが行けるようにすれば、親の環境がどうであれ、等しく教育を受けることができる環境ならば格差が生まれてこないと思う。

 これまでの国会議員の経験でいうと、箱とか機械には予算がつくが、そこを動かす人につかないのが戦後日本の予算の在り方だった。令和の時代は人にお金を、ソフトに予算を投じていくことが大切だ。お金がつかないから人が減っていく。岸田総理も今度の補正予算について、子供や人への投資をはっきり話しているので、転機を迎えている。やはり担い手を増やしていくことが、教育格差を減ずる一番の原動力になると思っている。

――これまでの子育て支援制度への問題点や評価についてどう考えるか。

 子供法政策の一番の欠点は、何かあっても社会問題で終わらせるところだった。経済や安全保障という国の骨格とリンクさせてこなかったことが、一番の失政だと思っている。例えば、先進国でも基本的には子供は減るが、止めてV字回復させている。フランスなどは、結婚の在り方から税の在り方、予算まで抜本的に取り組む。そこまでやらないと人は育たないのに、日本は取り組まなかった。そうして放置された結果が今だと思うので、子供を守ることはもちろんだが、私たちを守る、ここで生きていく人間を守るという新しい政策の旗が「こども庁」だと思い、取り組んでいく。

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