こども庁への政策提言 末冨芳教授と駒崎弘樹氏が討論

 衆院選の争点の一つとなっている「こども庁」の創設を巡り、病児保育などの子育て支援に取り組むNPO法人フローレンスはこのほど、駒崎弘樹代表理事と、子どもの貧困問題などに取り組む末冨芳(かおり)日本大学教授によるトークイベントをオンラインで開いた。こども庁の創設によって、子どもを育てにくいとされてきた日本の子育て環境をどう変えなければならないのか、両氏が政策を提言した。

日本の子育て政策の課題を話し合う登壇者ら(YouTubeで取材)

 近著で「子育て罰」という言葉を用いて、日本の子育て政策の問題を論じた末冨教授は、データを基に「あらゆる世代の中で、政府の分配で不利な立場に置かれているのが、子育て世代と若者世代だ。何が子育て罰かと言えば、子どもを持つ母親が働いても貧困が改善しない異様な国だということ。これは先進国で日本だけだ」と指摘した。また、高所得であっても子どもの数が多ければ経済的に厳しい家庭は多いとして、児童手当などについては所得制限をせずに、0歳児保育や高校も含め、教育を無償化していくべきだとした。

 日本の現状を「子育て無理ゲー社会」と言い表した駒崎代表理事は、こども庁がまず手を付けるべき制度改革として、アウトリーチ型の支援を増やすことや、子どもへの性犯罪対策としての日本版DBSの普及、子どもの権利を保障する法律の整備などから成る8つの政策を提言。「こども庁はこうした実効的な政策をやれないと、作っても仕方がない。そういうこども庁を作れるかどうかが問われる」と話し、十分な予算や専門人材を確保し、省庁間にまたがる政策に横串を刺せる存在になる必要性を強調した。

 議論の後半では、学校現場で問題となっている理不尽な校則や性被害の問題も話題に上った。

 司会を務めた前田晃平フローレンス代表室長が、日本版DBSについて「なぜ小児性犯罪にだけデータベースを作るのかという批判が寄せられる。キーワードは子どもの声なき声を聞くことだ。小児への性暴力では指導者対子どもという絶対的な力関係の下で、卑劣な脅しによる犯罪や暴力が行われている。これは制度で守らないとなかなか難しい」と話すと、駒崎代表理事は「ブラック校則は顕著に子どもの権利を踏みにじっている。下着の色が白であることに何の教育的効果があるのか。校則を子どもが変える。ルールメイキングを子どもができるようにすべきだ。そうすることで子どもが民主主義にアクセスし、みんなを説得すればルールを変えられるというシティズンシップの体験につながる」と、子どもの意見表明権の保障の重要性について語った。

 これに対し末冨教授も「ブラック校則がなぜ駄目かと言えば、『大人に文句を言うな』というトレーニングになっているからだ。それによって教師からの暴言やハラスメントなどが、なかなか表に出てこなくなっている。親にSOSを出すことすらも時間がかかる。だからこそ、子ども基本法の立法が必要だ。子どもが自分自身で声を上げて、社会に参加していける環境が日本に整えば、子どもや若者にとって生きやすい社会になる」と応じた。

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