オンラインによる構造転換 入試よりも卒業重視の大学へ

 オンライン授業の導入で、日本の大学も入試より卒業にウエイトが置かれるようになる――。教育再生実行会議高等教育ワーキング・グループの構成員も務めていた、経済学者の柳川範之東京大学大学院教授が10月20日、超教育協会のオンラインシンポジウムに登壇し、オンライン授業を契機とした日本の教育の構造転換をテーマに講演した。柳川教授はオンライン授業によって、いろいろな年代の人が必要なときに大学で学べるようにすべきだと提案。初等中等教育も子どもの理解度に応じて進むようにする必要があると指摘した。

オンライン授業による大学教育の転換について語る柳川教授(左、Zoomで取材)

 自身も慶應義塾大学経済学部の通信教育課程で学んだ経験のある柳川教授は、今の日本の大学教育の問題として、過度に入試に価値が置かれ、保護者の所得や居住地域の影響を受けていること、社会人のリカレント教育の場として十分に機能していないことを挙げた。その上で、これらの問題を解決するためにコロナ禍への対応で一気に普及したオンライン授業を有効活用すべきだと強調。大教室での講義はオンライン授業に置き換え、リアルな学びは少人数でディスカッションするものなどに特化すべきだとした。

 入試についても、「基本的に全員入学にして、希望者にオンライン入学(履修)を認めるようにすればよい。オンラインで単位履修をして習得してもらい、そこでしっかりした成績を残した人がキャンパスに来るようにすれば、一発勝負ということはなくなり、ずっと適切なセレクションができる」と提案。その上で「入学を自由にして卒業を厳しくすれば、学生の質を大学が保障することになる。どの大学に入るかより、その大学を卒業したことに意味があるような形にしていくべきだ」と、大学教育のドラスティックな改革の必要性を呼び掛けた。

 さらに柳川教授は、オンライン授業を充実させることで、社会に出た後に必要になったことを大学で学び直すリカレント教育にも対応できるようになると強調。初等中等教育も、タブレット端末などを活用しながら、子ども一人一人の理解度や進度に応じた速さで学べるようにすべきだとした。

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