【GIGA発進】3人に2人が制限感じる 教育新聞調査


 GIGAスクール構想による学校現場の実態を知るため、教育新聞が全国の教諭・学校管理職を対象に今月実施したウェブアンケートでは、端末整備が完了している小中学校の教諭・学校管理職のうち、3人に2人は端末の利用について何らかの「制限がある」と感じていた。一方で4月に実施した前回アンケートと比較すると、利用制限について「わからない」との回答割合が大きく減り、「制限なく利用できる」と答えた割合も増加するなど、学校現場で活用が進み、できることとできないことの理解が進んでいることがうかがえる結果となった。端末の活用場面は授業内が主となっており、高校ではより探究的な学びを意識した使い方がされているようだ。

「準備段階で想定される課題」から「活用してみて分かった課題」へ

 ウェブアンケートで「校内では、授業などに必要な機能を、必要な時に制限なく使うことができるか」と尋ねたところ、「制限なく利用できる」は31.8%、「少し制限がある」は46.6%、「かなり制限がある」は18.4%、「ほとんど利用できない」は1.5%、「わからない」は1.7%となった。「制限がある」と「少し制限がある」「ほとんど利用できない」を合わせると、3人に2人は端末の利用に何らかの制約を感じていた。

 ただ、今年4月に行った前回アンケートと比較すると、「少し制限がある」と「かなり制限がある」の割合はほぼ横ばい。「ほとんど利用できない」は1.9ポイント減、「わからない」は12.3ポイント減となる一方、「制限なく利用できる」は11.6ポイント増となるなど、端末の利活用が進み、学校現場が端末の利用について実感を伴いつつあることが反映された結果となった=グラフ1参照

グラフ1=端末の利用制限の有無に関する4月時点と10月時点での比較

 この10月時点での利用制限の理由を複数回答で聞くと、最も多かったのは「アプリケーション・ソフトウエアに機能制限がある」(54.8%)、次いで「十分な通信速度が確保できない」(48.7%)など、実際に活用した際に明らかになったとみられる課題への回答が高く、前回アンケートの際に高かった「教員への研修・周知ができていない」は、54.0%(4月)から20.6%(10月)に大きく減少していた。

 また「トラブル時の対処方針が決まっていない」や「児童生徒に端末取り扱いに関する指導ができていない」「個人情報の管理に関する対応が決まっていない」「保護者の周知・理解ができていない」など、端末の導入期の課題とみられる項目も同様に、割合が減少していた。

通信環境や組織の柔軟さに引き続き課題

 その一方で、前回アンケートとほとんど変わらなかったのは「全員の同時接続ができない」(19.3%)や「行政や学校管理職の許可が得にくい」(16.2%)など、通信環境の課題や、柔軟さに欠ける組織上の課題が挙がった=グラフ2参照

グラフ2=利用制限の理由に関する4月時点と10月時点での比較(複数回答)

 自由回答でも、こうした通信環境や端末の使い勝手の悪さ、教育委員会の方針への不満を指摘する声が寄せられた。「回線が弱く、全校生徒で使うとパンクする。市教委による制限が多く、宝の持ち腐れ感がある。5年後、新しい端末に予算が付くと思えない。古い端末を何十年も使うことになるのではという不安がある」(東海/公立中教諭・20代)、「たぶん教育委員会がセキュリティーを気にし過ぎて、制限があり過ぎるために、まだまだ活用が広がらないと思う」(甲信越/公立小教諭・40代)。

 「上は積極活用しろ、実践を増やせとうるさい一方で、利用制限だらけのネットやインストール不可のアプリばかり。Google Workspaceを貸与してくれても、ゲストティーチャーとオンラインでつながれない設定のGoogle Meet(ウェブ会議システム)を筆頭に、外面ばかり良くしようと整えるくせに、本当は使わせたくないのだろうといやでも感じさせる教育委員会の対応にうんざりする。4~5年後、今の端末を買い換えねばならぬ時にどうするつもりか、将来の具体的なビジョンが見えない、その場しのぎの対応」(東京都内/公立小教諭・50代)という厳しい声もあった。

活用場面は「授業」がメイン

 では、学校現場ではどのような場面での活用が始まっているのか。今回のウェブアンケートで、すでに端末の整備が完了している義務教育段階の教諭・学校管理職に、具体的な端末の使途を複数回答で聞いた=グラフ3参照

義務教育段階での端末の使途(複数回答)

 その結果、最も高かったのは「デジタル教材(ドリル・資料など)」で77.0%、次いで「インターネットを用いた情報収集」(72.9%)、「発表・プレゼンテーション」(64.7%)、「クラウド上での課題共有」(61.5%)など、授業場面での使用が一般的と言えそうだ。

 また、「教員研修」(49.0%)や「職員会議」(30.3%)、「家庭との連絡」(20.4%)など、校務関連での使用も一定数みられる。新型コロナウイルスの感染拡大などによる「非常時の遠隔授業」(34.4%)や「不登校児童生徒への遠隔授業」(25.7%)などの、オンライン授業への対応も今後増えていきそうだ。

 自由回答では、さまざまな実践例が寄せられた。「コロナの関係で、リコーダーと鍵盤ハーモニカが使えないのですが、タブレットの楽器ソフトを使ってバリバリ演奏している。助かります!」(北関東/公立小教諭・30代)、「自分は中学社会科の教員だが、自分の授業では1人1台のパソコンで調べ学習や株式売買ゲームを班で行い、株式の仮想売買から金融教育として今年度組み込んだ。毎日の株価の値動きを1人1台のパソコンで休み時間までも確認したり、家庭のスマホからも夜10時まで売買注文をしたりして、1人1台のパソコンによる学習で、『授業外の学び』が促進されたように感じる」(近畿/公立中教諭・30代)。

 一方で、ICTならではの学びを深めることに難しさを感じるという声もあった。「実際にやれることはGoogle Meetでライブ集会を行う、簡単な質問をフォームで回収する、ドリル学習を行う、と言う感じのことであり、特段これまで紙などでやれていたことを置き換えただけの発想しかできないところが苦しい。あれこれICTならではのものをと思うと、準備が必要であり、かえって時間・手間がかかると思われ、躊躇する」(東海/公立中教諭・40代)。

小中学校と高校で活用場面に違い

 同様の質問を、1人1台環境がすでに実現している、または予定がある高校段階の教諭・学校管理職にも行った=グラフ4参照。回答者数が63人とやや少ないが、最も高かったのは「インターネットを用いた情報収集」(74.6%)で、その次に「アンケート・調査」(73.0%)や「クラウド上での課題共有」(69.8%)、「発表・プレゼンテーション」(68.3%)などが続いているのが特徴的だ。新学習指導要領で探究的な学びが重視されていることが影響しているのかもしれない。

グラフ4=高校段階での端末の使途(複数回答)

 また、「部活動」(36.5%)での活用もある程度確認できるなど、生徒が主体的にさまざまな学校生活で端末を活用している傾向も垣間見える。

 南関東の30代公立高教諭は「ICT活用により、授業の在り方が変わってきた。従来のプリントと板書に頼った指導方法から、映像(写真や動画)を活用し、視覚的に提示することや、ウェブアンケートの活用により意見共有・集約を行うことが容易になった」という。

 また「学校行事の在り方についても、今後は考え方を改めていく必要があると感じる。日程について、台風等で当日になり中止や活動内容を大幅に縮小・制限ということが以前ではあり得たが、例えば実施日だったところをオンライン授業に代替し、翌日以降の晴天時に行事を移動することも考えられる。また、内容面についても、VRの発達なども今後予測され、参加できない生徒や、荒天時でも、通常と同じように体験学習ができるかどうかも検討の範囲となる」と意見を寄せた。

 GIGAスクール構想の対象となっていない高校の端末整備は、各都道府県や学校で、導入の状況や利用の仕方に大きな差がある。今後、端末の普及とともに、地域や公私の違いも踏まえた詳細な分析をしていく必要があるだろう。

今回のウェブアンケートは今年10月1~7日に、教育新聞の購読者のほか、教育新聞の公式SNSなどで回答を募り、全国の小学校・中学校・義務教育学校・高校・中等教育学校・特別支援学校の教諭・学校管理職475人から有効回答を得た。

 アンケート回答者の基本属性は次の通り。

 【学校種】小学校47.4%、中学校27.6%、義務教育学校1.5%、高校17.1%、中等教育学校・中高一貫校2.1%、特別支援学校4.4%

 【学校設置者】国立4.0%、公立85.9%、私立10.1%

 【職位】教諭87.2%、学校管理職12.8%

 【学校所在地】北海道4.8%、東北5.9%、北関東5.3%、東京都内22.1%、南関東17.5%、甲信越4.4%、北陸0.4%、東海13.5%、近畿11.6%、中国5.5%、四国1.1%、九州・沖縄8.0%

 【性別】男性57.9%、女性40.0%、その他・答えたくない2.1%

 【年代】20代21.5%、30代30.5%、40代29.3%、50代16.4%、60歳以上2.3%

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