多様なニーズに応える特別支援教育施設を 文科省部会

 特別支援教育の新たな学びに対応した学校施設の在り方を検討する文科省の部会が新たに設置され、初会合が10月22日、開かれた。特別支援学校の校長や施設整備の専門家など、各委員がそれぞれの視点から学校施設を巡る課題について意見を述べ、「多様なニーズに応じた施設の在り方を考えるべきだ」「医療的ケアが行える施設などを求める声もあり、環境整備を考えなければいけない」などと、児童生徒一人一人のニーズに応じたきめ細かい支援の必要性を指摘する声が相次いだ。

オンラインで開かれた特別支援教育の施設の在り方を検討する会議

 新たに設置されたのは、「特別支援教育の在り方を踏まえた学校施設部会」(部会長・上野淳東京都立大学名誉教授)。特別支援教育を巡っては、今年1月の中教審答申などで、一人一人の教育的ニーズに的確に応えられるよう、通常学級から特別支援学校まで連続性のある多様な学びの場の充実などが打ち出されている。また、在籍者数の増加で慢性的な教室不足が続く中、今年9月には、必要な施設や校舎の面積などの最低基準を定めた特別支援学校の設置基準が公布された。

 こうした流れを踏まえて同日の会議では、はじめに文科省の担当者が今後の論点などについて説明し、▽特別支援学級と通常の学級の子供が共に学ぶ活動への対応▽ICT利活用による特別支援教育の質の向上▽医療的ケアが必要な児童生徒への対応▽バリアフリー化の対応――など、さまざまな視点から施設整備の在り方を検討してほしいと求めた。

 これを受けて、各委員が専門的な視点から課題や意見を述べた。

 市川裕二委員(全国特別支援学校長会会長)は「特別支援学校は、視覚障害から聴覚障害、肢体不自由など多様な障害種に、小学部や高等部など複数の学部、さらに小規模校から大規模校まであり、多様な障害特性などに応じた学校施設の在り方について検討が必要だ。また、病気療養などで通学できない児童生徒への遠隔授業を進める上で、ICT環境の整備なども求められる」と指摘した。

 喜多好一委員(全国特別支援学級・通級指導教室設置学校長協会会長)は、全国から寄せられた声をまとめて報告し、「さまざまな障害種がある中でも共通しているのは教室不足であり、特別支援学校の教室とはどういうものかと考えを示してほしいとの声が多かった。また、学びの場の整備の点では、多目的トイレやシャワーなどに加え、通級教室は教材が多いので収納スペースの確保を求める声があった。さらに通常の学級に特別支援学級の子供が共同学習で入ると密になってしまうので、この点も考えてほしい」と検討を求めた。

 丹羽登委員(関西学院大学教育学部教授)は、病弱な子供たちへの対応を重点に述べた。「医療的ケアが必要な子供たちのトイレが十分に確保されていない上、ケアを行える場所の確保も不十分なところが多い。また、病院の中に設置されている特別支援学校の形態がまちまちで、廊下で授業をしてほしいと求められるケースや、電子カルテなどに影響が出る恐れがあるといってネットワーク環境が利用できないケースもある。安心して学べる環境が必要だ」と強調した。

 また、自治体の視点から、日高真吾委員(長崎県教委教育環境整備課長)は「設置基準に照らし合わせると、長崎県では校舎で3割、運動場で約7割が基準を満たしていない状況だった。敷地に余裕があれば増築も可能だが、スペースがない学校も多く、一部学部の移転や他の県有地活用も検討する必要が出ている」と施設の確保に苦慮している状況を述べた。

 同部会では、今後、先進的な施設への視察なども含めて議論を重ね、今年度中に最終報告を取りまとめて、同省の学校施設整備指針の改訂に反映させる。

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