外国人学校に健康診断や看護師巡回を 有識者会議で要望

 外国人学校などの保健衛生環境の在り方を検討している、文科省の有識者会議(座長・佐藤郡衛明治大特任教授)は10月25日、第6回会合をオンラインで開き、外国人の子供への支援に当たっている研究者やNPO法人などからのヒアリングを行った。委員からは、認可外の外国人学校やNPOが運営する施設では財政的な余裕がなく、保健衛生に関する人員配置や保健室の設置などは難しいとの指摘が相次ぎ、日本の子供と同様に健康診断などを受けられる支援や、外国人の子供たちが通う複数の施設を広域で巡回する看護師などの配置を求める意見などが上がった。

オンラインで行われた会議でブラジル人学校の感染対策を説明するオチャンテ・ロサ委員(写真右上)

 この日の会合では、オチャンテ・ロサ委員(桃山学院教育大准教授)が滋賀県内の2つのブラジル人学校の現状について報告。ブラジル人学校では、新型コロナウイルス感染症対策を巡り、周りからの差別なども懸念して新たに室内手洗い場を設置するなど工夫しているが、日本語対応できる職員が限られているため、文書への振り仮名や分かりやすい日本語の使用が必要だ、と指摘した。また、認可外の学校は私塾として扱われ、児童生徒に対する健康診断が行われていない実態に触れて、「移民の子供たちも将来の日本社会を担う一員であり、子供の命や健康を第一に考える方針を示してほしい」と対応を求めた。

 また、都内で定住外国人を支援に取り組んでいる田中宝紀委員(NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部責任者)は、コロナ禍でも児童生徒の健康チェックなどに最大限取り組んでいるが、平時以上に予算面が厳しいため保健衛生のための人員増員などは難しい、と述べた。その上で「一定の研修を受けた養護教員や保健師が隔週ででも広域で巡回し、児童生徒の健康を管理してもらえると負担もなく取り組みやすい」と文科省側に要望した。

 これに対し文科省の担当者は「直ちには答えられないが、現在、外国人学校に関連して自治体の取り組みを支援する予算を要求をしており、その中で看護師などが巡回する取り組みを導入して全国に広げることも調査研究していきたい」と答えた。

 各委員の発言では、倉橋徒夢委員(NPO法人在日ブラジル学校協議会副理事長)が「ブラジル人学校の子供たちはかつて出稼ぎの外国人の子供が中心だったが、大きく様変わりして定住が進んでいる。こうした中でお金も時間も人もいないことを理解して対応してほしい」と改めて文科省に対応を求めた。

 同省は現在、外国人学校の保健衛生環境の詳しい実態を調べる現地調査などを進めており、次回会合で調査結果を報告する予定。年内に有識者会議の最終取りまとめを行いたいとしている。

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