探究力育成へ官民協働の基盤づくり提案も 3府省WG

 子供たちの探究力を育てる具体策などについて検討している、文科省など3府省でつくるワーキンググループ(座長・藤井輝夫東京大学総長)の第3回会合が10月27日、内閣府で開かれ、探究学習を進めるための「財源の確保・再配分」を中心に議論が交わされた。国や地方の財政事情が厳しい中、民間企業や大学など外部機関と連携した学習の推進や、官民協働での教育プラットフォームの構築など、各委員からさまざまな提案が示された。

探究的な学びのための財源を巡り議論した3府省のWG

 同会議は、子供たちの探究力の育成やSTEAM教育の推進に向けて、文科省の中教審と内閣府の総合科学技術・イノベーション会議、経産省の産業構造審議会の委員らで組織。同日は人材育成のための「財源の確保・再配分」を主なテーマに議論が交わされた。

 はじめに事務局担当者が、GDPに占める初等中等教育の財政支出は、OECDの平均3.5%に対し、日本は2.6%と教育への投資が少ないことなどを示す資料を提出して、公立学校にかかる教育費などを説明。この中で探究的な学びなどのため各高校にコーディネート人材を配置している島根県の事例に触れ、例えば全国の公立高校にこうした人材を配置する場合、年間230億円の予算が必要であるとの試算などを紹介した。

 こうしたテーマを踏まえ、戸ヶ﨑勤委員(埼玉県戸田市教委教育長)が、同市では多くの大学や民間企業と連携した独自の探究的な学びに取り組んでいることを報告し、「連携をうまく進めるためには学校や教室を実証の場として提供し、成果を還元したり、積極的に情報発信をしたりすることが大切だ」などと説明した。

 これを受けて主に財源の確保をテーマに議論が交わされ、佐藤康博委員(みずほフィナンシャルグループ取締役会長)が「産業界はメリットがあるから教育に関わるわけで、学校の追加的負担が必要なこともある。財務上の問題をクリアするためには、産業界の利益の何割かを教育に回す仕組みも考えるべきではないか」と問題提起したのに対し、戸ヶ﨑委員は「確かに企業とウィンウィンの関係といっても、全く予算なしでできるわけではない。この会議の中で企業との仕組みづくりも考えられるといい」と答えた。

 また、松田悠介委員(認定NPO法人Teach For Japan創業者)は、官民協働で海外への留学生をサポートしている「トビタテ!留学JAPAN」を好事例として取り上げ、「このプロジェクトは120億円以上の寄付を集めて250社を巻き込んだ事業になり、STEAM系人材の育成にもつながっている。社会全体でこうした教育プラットフォームを構築して展開してもいいのではないか」と提案した。

 さらに島根県で高校の魅力化などに取り組む岩本悠委員(一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)は「島根県の高校が大学などとうまく連携できている背景には、普通科高校に教員を1人ずつ加配して、コーディネーターとタッグを組んで調整に当たっていることが大きい。今後、日本が本気で科学技術立国を目指すならこうした人材配置が必要であり、これが実現できれば日本の高校の姿ががらりと変わると思う」と提言した。

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