【GIGA発進】子供は主役になれている? 教育新聞調査

 GIGAスクール構想では、児童生徒が鉛筆やノートなどの「文房具」と同じように、自由な発想で端末を活用できるようになることを目指している。そんなGIGAスクール構想の「主役」に、今の子供たちはなれているだろうか。教育新聞が10月初旬、教員・学校管理職を対象としたアンケートで、端末の管理ルール作りや活用スタイルを尋ねたところ、児童生徒が主体的に関与したり、判断したりして使うケースはまだまだ少数派だった。寄せられた自由回答では、新たな学びのスタイルへのアップデートが必要だとする声の一方、児童生徒が自由に使うことによるトラブルを懸念する声も聞かれた。

端末管理ルール「児童生徒が中心となり決めた」8.5%

 GIGAスクール構想が本格始動した今年4月時点で、多くの教員・学校管理職から課題として挙がっていたのは「端末を管理・運用する上でのルール作り」だった。教育委員会に先導するよう求める声がある一方、児童生徒自身にルールを考えさせるという教員もいた。こうした経緯を踏まえ、10月初旬に実施した今回のアンケートでは「端末管理のルールを、誰が中心となって決めたか」を、複数回答で尋ねた。

 その結果、最も割合が高かったのはやはり「教員」で64.4%、次いで「教育委員会・学校設置者」(52.2%)、「学校管理職」(51.9%)が並び、児童生徒が主体的に関与したと答えた割合は、わずか8.5%にとどまった=グラフ1。「スタートアップは教師で、これから生徒が決めていくシステムになる」(北海道/公立中教諭・40代)という事例もあった。

グラフ1=端末管理のルールは、誰が中心となって決めたか(複数回答)

 児童生徒がルール作りに関与していないケースでは「誰かが動かないと始まらないし、みんなが使うようにならないと自分の授業で生徒が支障なく操作できる状態にならないと考えたので、とにかく先生たちが使いたくなるように、先頭に立って端末配布の手順を整え、ルール案を作成し、自主勉強会を企画するなど活用推進をしてきた」(東京都内/公立中教諭・40代)など、まずは使うことを優先し、教員が先導した事例などが見られた。

 一方で安全・安心な利用の観点から、教員の関与の重要性を指摘する声もあった。南関東の公立中教諭(40代)は「ICT機器は子供たちの方が使いこなすのは早い。良いことにも、残念ながら悪いことにも。本人の知らぬところで勝手に写真を撮り、画像加工しエアドロップで送り合い『笑い合い』が行われていた。オンライン授業では、チャット機能を悪用した生徒もいた。傷ついて泣いた生徒もいた」と振り返る。

 その上で「悪いことに使った生徒に対しては、全て掌握しきめ細かい生徒指導を行っている。手間が掛かるが、起き始めの段階でしっかりと指導しないと、手に負えないぐらい広がる。最近起こったような最悪の痛ましい事故だけは絶対に起こしたくない。だから、全て掌握し徹底的に指導している」と強調した。

「児童生徒が判断して、個別に使う」スタイルは2割

 アンケートではまた、現在の端末活用のスタイルについて「教員の指示のもと、一斉に使う」、もしくは「児童生徒が判断して、個別に使う」のどちらに近いかについて、4段階で評価してもらった。「教員の指示のもと、一斉に使う」に近いと回答したのは77.6%、一方で「児童生徒が判断して、個別に使う」に近いと回答したのは22.4%と少数派だった=グラフ2

グラフ2=1人1台端末を使うときのスタイル

 どちらかといえば「児童生徒が判断して、個別に使う」と回答した南関東の公立小教諭(30代)は「教諭側の新しい学習スタイル、授業スタイルへのアップデートが必要」と指摘した。また「ツールとしてのパソコンの活用の促進(が課題)」(東京都内/公立小管理職・50代)という声からは、「文房具」としての端末活用への意識がうかがえた。

 一方で、どちらかといえば「教員の指示のもと、一斉に使う」と回答した教員でも、「小1の子供たちが自発的に、調べたいことをさっと調べるようになり始めていることも驚き」(東京都内/公立小教諭・30代)と、変化を感じているケースがあった。

 ただ「これまでの授業スタイルからICTを活用することで、生徒が主体的で対話的な学びを実践することは分かっていても、具体的にどう進めたらよいのか難しい」(南関東/公立中教諭・50代)と、新しい授業スタイルへの転換に戸惑う声も寄せられた。

 また、ここでも児童生徒の自由な判断が時にトラブルにつながるケースを指摘する教員もいた。南関東の公立中教諭(30代)は「ICTを活用すると、画面の向こう側に相手(友達や先生)がいるという意識がなくなる生徒が少なからずいる。これまで生徒同士が対面で話し合いをする場では絶対になかったような、暴言などの書き込みが発生することもあった。メディア・リテラシーやモラル教育も並行していかなければならない」と、児童生徒が適切にICTを使うスキルを育成していく必要性を訴えた。

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