性被害防止も学校安全? 委員ら現場の負担増を懸念

 学校安全推進計画の改訂について議論している中教審初等中等教育分科会学校安全部会は10月27日、第7回会合をオンラインで開き、第3次計画で新たに盛り込むべき内容として、児童生徒を狙った性犯罪・性被害の防止や、新型コロナウイルスの感染症対策と安全対策の両立などについて検討した。文科省が提示した今後の方向性の案や第3次計画の内容に対し、委員からは学校安全の範疇(はんちゅう)に入る内容が増えることで、学校現場の負担が増えることへの懸念の声が上がった。

第3次計画の策定に向けて議論が大詰めを迎えた学校安全部会(YouTubeで取材)

 この日の会合では、第3次計画策定に向けての論点の中で、さらに議論すべき事項として、防犯・交通安全の一層の充実方策をはじめ、SNSの普及や新たな危機事象といった課題への対応、新型コロナウイルス感染症対策と安全対策の両立について、文科省からこれまでの取り組みと現状の課題、今後の方向性の案をまとめた資料が提示された。

 特にSNSの普及や新たな危機事象への対応では、情報モラル教育を推進するとともに、政府の「性犯罪・性暴力対策の強化の方針」を踏まえ、文科省が作成した「生命(いのち)の安全教育」に関する教材を活用し、児童生徒が性暴力の加害者、被害者、傍観者にならないような取り組みを実施していくことを提案。さらに、感染症対策と安全対策の両立では、児童生徒に感染症予防に関する保健指導と安全指導を横断的に関連させて指導し、マスク着用と熱中症予防では、熱中症への対応を優先させることの周知徹底をしていく案が示された。

 これに対し、出席した委員からは「子どもの安全を考えると、学校安全にはあらゆる内容が入ってきてしまう。これを一体的にやるとなれば、きちんとした制度設計や時間の確保、学校の中での位置付けが必要になる。これらは当然必要なことだとは思うが、一体的に広く行うのであれば、スローガンや考え方ではなく制度上の担保も必要ではないか」「熱中症や性のことは学校保健計画でやっている。情報モラルは生徒指導でも行っている。学校安全計画でそれらを入れるとなると、いろいろ重なることになる。あえて重ねて子どもの命をトータルで守るということか。学校現場にどんどん新しいものが入ってきて、混乱してしまう可能性がある」など、現場の負担感が増すことへの危惧が指摘された。

 また、第3次計画の内容を固めるために文科省から示された「これまでの議論の整理」に関しても、別の委員から「ヒアリングでも出ていたが、学校がこれらを全部やるのは大変な労力で、どんどん増えていくばかりだ。しかもそれらが全て教職員に委ねられており、教育以外の業務が増えている。働き方改革が叫ばれている中で、子どもたちの安全を守るための対策を提案するのであれば、同時に教職員に対する安全配慮義務についても明記すべきだ」「学校安全は社会情勢を反映している。学校関係者だけで解決できないものが多々あり、限界や限度がある。限界を明示した上で、社会に協力を求めていく必要がある。今の状況では学校がすごく受け身になっている。社会に対して積極的に発信していく項目があってもいい」など、学校安全の肥大化に対し疑問視する意見も出た。

 これらの議論も踏まえ、学校安全部会では11月26日に予定している次回会合で、答申素案について審議を行う予定。

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