「日本は協働学習で成功」TIMSS研究者報告 国研シンポ

 国立教育政策研究所は10月28日、教育改革国際シンポジウム「これからの世界における教育データの可能性を探る」をオンラインで開催した。「国際数学・理科教育動向調査」(TIMSS)を実施する、国際教育到達度評価学会(IEA)の研究者らが登壇。同調査のデータを基に、日本の成績向上が協働学習の広がりと関連しているという分析や、新たに導入されたコンピューター使用型調査の展望などが報告された。

オンラインで行われた国際シンポジウム(Zoomで取材)

 独国際教育研究所のエクハルト・クリーメ教授は、日本の数学の平均得点について、2003~11年に停滞が見られたものの、その後回復している点に着目。少人数のグループ学習を行う頻度と成績に正の相関があることを示し、「協働学習の頻度が上がることで、成績が向上している」と分析した。

 また協働学習の内容についても、日本では他国と比べて「教師が干渉せず、生徒自身に考えさせる」というスタイルに特徴があるとし、「数学的思考を支える、質の高い協働学習」と評価。少人数のグループ学習の中でも、特にペアワークについては「ペアワークを盛んに行うほど、数学に対する生徒のモチベーションが上がっている」と指摘した。

中2数学の平均得点に回復が見られる、TIMSS2019の結果

 国立教育政策研究所でTIMSS研究代表を務める銀島文・教育課程研究センター総合研究官は、19年にTIMSSのコンピュータ使用型調査を体験した生徒の反応に言及。解答する際の双方向性を「楽しかった」ととらえる生徒がいたと話し、「解答者は何を楽しいと感じているのか」「学習を成功に導く本質的な楽しさとは何か」といった研究課題は、学習のアセスメントを考える上で重要なテーマになると述べた。

 また、コンピュータ使用型調査が導入されたことについて、「教育評価の領域では、その結果をどう活用するか、また学習者や評価対象者にどう還元するかが重要な論点。研究と実践をどうつなげて評価していくかも課題だ。参加国間のランキング競争は目的ではない。新たなツールが出現したことにより、今まで光が当たりにくかった部分、当てることができなかった部分を可視化し、教育の質向上に役立てる段階に来ている」と指摘した。

 国立教育政策研究所の佐藤安紀次長・教育データサイエンスセンター長は「教育に関するデータを効果的・効率的に収集・分析し、その結果を活用していくことで、データ駆動型の教育を実現し、さらなる教育の質向上を図りたい。TIMSSではいち早くコンピュータ使用型のアセスメントに取り組んでおり、そのデータの分析手法は、AI技術の進展により大きく発展することだろう」と結んだ。

あなたへのお薦め

 
特集