脱炭素の鍵を握るのは中高生 SDGs部のプロジェクト始動

 国連の気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が英国で開かれ、日本の中高生の間でも気候変動への関心が高まっている。東京都品川区にある青稜中学校・高等学校(青田泰明校長、生徒1526人)のSDGs部では、自分たちにできる再生可能エネルギーの利活用を考えるPBL型の活動を始めた。10月29日にはグリーン電力事業を行う「afterFIT」の前田雄大CCOが講演し、再生可能エネルギーを巡る世界の動きや日本の課題について解説。若い世代がアクションを起こしていく必要性を呼び掛けた。さらに10月31日には、同社が運営する太陽光発電所を生徒らが見学した。

「囚人のジレンマ」を例に、世界各国の気候変動対策の状況を説明する前田さん

 同校では年内に、校内で使用する電力を全て再生可能エネルギーによるグリーン電力に変更する予定で、国連の持続可能な開発目標(SDGs)に向けて活動するSDGs部でも、この機会に「脱炭素に向けたアクションプラン」を提案するプロジェクトに取り組むことを決めた。

 この日の講演では、元外務省の職員であった前田さんが、なぜ気候変動の問題が世界で長年議論されてきたにも関わらず、実際の対策に向けた動きは停滞していたか、歴史的経緯を説明。ゲーム理論の「囚人のジレンマ」を例に挙げ、「気候変動による二酸化炭素の削減は必要だったが、どの国も損をしてまでやりたくはない。しかし、自己中心的で全くやっていないようには見られたくないから、気候変動対策は停滞してしまった」と解説した。

 また、近年は太陽光発電などの再生可能エネルギーのコストが安くなり、どの国でも自前で化石燃料に頼らないグリーン電力を作れるようになって、膠着(こうちゃく)状態が変わったとも指摘。パリ協定の発効によって、世界中が再生可能エネルギーの活用による脱炭素へとかじを切る中で、日本だけが取り残されていると警鐘を鳴らした。

 前田さんは「日本では再生可能エネルギーについて供給のことばかりで、需要を生み出すことへの議論が不足している。求められているのは皆さんの一歩だ」と呼び掛け、若い世代が脱炭素に向けた「波」を起こす可能性があると期待を寄せた。

 熱心にメモを取っていた生徒からは「日本ではどうして再生可能エネルギーが高いままなのか」「日本は火山大国なのに、なぜ地熱発電が広がらないのか」など、さまざまな質問が出された。

太陽光発電所を見学するSDGs部の生徒ら(afterFIT提供)

 また10月31日には、SDGs部の生徒らが茨城県にある太陽光発電所を見学した。これらの学習を踏まえて、保護者に向けて自分たちにもできる「脱炭素アクションプラン」をプレゼンするという。

 青田校長は「気候変動に対する若い世代の関心は高い。グリーン電力はすぐにできる取り組みの一つとして、子どもたちの話をきっかけに家庭でも意識してもらえたら」と話す。

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