不登校過去最多「授業の改善も急務」 末松文科相

 不登校の増加に歯止めがかからない状況から、一斉授業を原則とする現在の学校制度の見直しを求める指摘が中教審などで出ていることについて、末松信介文科相は11月2日の閣議後会見で、「不登校児童生徒への支援については、スクールカウンセラーの拡充など、教育の相談体制の充実に取り組んできたが、授業の在り方の改善も急務と思う。制度の問題があるが、現場で対応できることもたくさんあると思う」と述べ、ICT活用と少人数学級の推進を軸として一人一人の子供に対応することで、不登校への支援につなげていく考えを示した。学校制度見直しの必要性については「あらゆる観点から常に考えていくことが大事。今はそこまでしか申し上げることはできない」と慎重姿勢を崩さなかった。

不登校の増加について説明する末松文科相

 末松文科相は、小中学校の不登校の児童生徒数が昨年度に過去最多の19万6127人となったことについて「憂慮すべき事態」と指摘。増加の背景を「児童生徒の休養の必要性を明示した教育の機会確保の趣旨が浸透した側面もあるが、コロナ禍での生活環境の変化によって生活のリズムが乱れやすい状況もあった」と説明した。続けて「こうした生徒指導上の諸問題が、依然として学校運営上の大きな課題であり続ける中、従来の学校の在り方を改善していく必要性がさまざまな形で指摘されていることは承知している」と述べ、学校制度の見直しを求める声を受け止めた。

 今後の対応については「これまでスクールカウンセラーを拡充するなど、教育の相談体制の充実に取り組んできたが、授業の在り方の改善も急務であると思っている。制度の問題があるが、現場で対応できることもたくさんあると思う」と話した。

 その上で、今年1月の中教審答申で「全ての子供たちが安心して楽しく通える魅力ある環境を整える観点から、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に実施することが求められている」と説明。「文科省としては、ICTの活用と少人数学級を両輪として進めることなどにより、子供一人一人の学びを最大限引き出す教育に全力で取り組んでいきたい」と述べ、一人一人の子供にきめ細やかに対応することで不登校への支援につなげていく考え方に理解を求めた。

 また、学校現場への視察を通じて、一人一人の子供に対応する上でICT活用の効果を感じていることに触れ、「授業では、なかなか手が挙がらなかったけれども、ICT端末を持つことによって自分の回答を出したり、教壇に立つ先生にとっても全員の生徒をはっきり把握できたりして、公平な教育がなされている側面もある。こういう点は大事にしたい」と説明した。

 対面による一斉授業を原則とする学校制度の見直しを求める指摘については「あらゆる観点から常に考えていくことが大事だと、私は思っている。今はそこまでしか申し上げることはできない。大事なこと」と述べ、踏み込んだコメントを避けた。

 不登校の増加と学校教育については、10月28日の中教審初等中等教育分科会で、委員から「調査結果は深刻度を年々増している。対面、学年制をはじめ、同年齢の子供たちが同じ学びを共有するという、この学校制度モデル自体がひずみを生んでいる。新しい学校制度モデルを検討する段階に来ている」(貞廣斎子・千葉大教授)、「不登校の要因を見ると、学校が何らかの変化をしなければならないところが多い。これは今の学校に対する明確なフィードバックだと受け止めていい」(今村久美・認定NPOカタリバ代表理事)と、学校制度の見直しが必要との指摘が相次いだ。荒瀬克己分科会長(教職員支援機構理事長)も「本当に重要な課題。具体的にどういった学校の在り方が今の子供たちに必要なのか考えていかなければならない」と述べた。

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