少子化対策のカギは「男性の家事・育児参加」 内閣府検討会

 内閣府は11月5日、「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」の第3回会合を開き、男女共に仕事と子育てを両立できる環境の整備について議論した。今回の会合には、東京大学大学院経済学研究科の山口慎太郎教授が登壇。山口教授は「子育て参加の男女格差解消が少子化対策のカギ」と訴え、女性に偏りがちな家事・育児の負担を軽減する施策を提言した。

検討会の冒頭で、オンライン参加の構成員らにあいさつする野田少子化担当相(前列右)

 会合の冒頭では、野田聖子少子化担当相があいさつに立った。野田少子化担当相は「小渕恵三内閣で初めて少子化対策関係閣僚会議ができたが、当時は少子化そのものに危機感がなく、また女性の問題だと思われていた。しかし、少子化対策はまさにダイナミックな政策で、日本そのものの政策課題だということが、それまで関心がなかった国民にも伝わってきた」と振り返った。

 山口教授は、近年の経済学の知見として「夫が子どもを望んでも妻が前向きでない場合、夫が家事・育児を担っていないことが分かってきた」と述べ、「これまでの政策では夫婦全体での子育て負担に着目してきたが、妻の負担削減を狙い撃ちした政策が有効。保育所拡充、男性育休推進など、妻の負担削減につながる政策が考えられる」と説明した。

 その上で現状、親の就労など保育の必要性が要件になっている保育所などを、全ての子どもが利用できるよう、0~2歳児への保育・幼児教育の機会を拡大するべきだと訴えた。また男性が短期であっても育児休業を取得することで、3年後の子育て・家事時間が長くなること、テレワーク(在宅勤務)が増えることが男性の家事・育児参加につながることなどを紹介した。

 天野馨南子構成員(ニッセイ基礎研究所生活研究部人口動態シニアリサーチャー)は「日本企業では異動や転勤、単身赴任などの問題がある。国ができることには限界があり、大企業が動く必要がある」と指摘。それに対し山口教授は「転勤や単身赴任の重要性は、子育て支援の文脈で語られてこなかった。ただ民間企業に対して、外から強制的に介入する弊害は大きい。まずは転勤などに関する情報を公開させることが第一歩ではないか」と応じた。

 松田茂樹構成員(中京大学現代社会学部教授)は、コロナ禍が専業主婦家庭の社会的な孤立を招いたことに触れ、「保育所に限らず、地域子育て支援拠点の活用を十分に進め、子育て世帯の孤立対策や支援を進めるべき。地方では保育所の定員に余裕が出てきていることが推察される。そういう地域から、親が就業していない家庭でも利用できるようにしてはどうか」と指摘した。

 野田少子化担当相は「子ども・子育て政策の課題として、(さまざまな提言が)『いいね』止まりになり、具体的に切り込めていないことがある。そこをどう数値化して、予算を取っていくかだ。早く形にして、若い人に届けたい」と強調した。

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