一時保護への司法審査導入案 厚労省専門委で異論相次ぐ

 厚労省の社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会は11月5日、第36回会合をオンラインで開き、保護者からの虐待などで一時保護とするケースでの司法審査の導入や、子ども家庭福祉分野の新たな資格である「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」の創設について検討した。一時保護の司法審査の導入では、事務局から提示された案について、現実的ではないなどの異論が相次いだ。

一時保護への司法審査の導入について議論した社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会(YouTubeで取材)

 保護者から虐待を受けている可能性がある場合などに、一時的に保護者の養育環境から離す一時保護を巡っては、子どもの生命を守るためには躊躇(ちゅうちょ)なく行うべきだとされる一方で、行動の自由など子どもの権利や、親権の行使に対する制限にも当たるため、判断の適正性や手続きの透明性を確保するための司法審査の導入が検討されていた。

 この日の会合では、厚労省や法務省、最高裁から成るワーキンググループで検討した制度案を提示。一時保護をする場合、児童相談所は事前または一時保護開始から一定期間内に、裁判所に対して「一時保護状」の発付を書面で請求する手続きとした。

 これに対し、出席した委員からは「児相が一時保護の開始前に裁判所の許可状を得る余裕はない。実務上不可能な状況だ。児相は子どもの安全が脅かされている事態ですぐに保護しなければいけない。親権者が誰でなぜその状況が起きているか分からなくても、すぐにやらなければいけない。書類や証拠を集めないと一時保護できないとなれば、児相は一時保護に躊躇(ちゅうちょ)する。原則として事後審査とすべきだ」「この案では、子どもがこの審理手続きにどう関わるかが全く含まれていない。一時保護が子どもの権利を制限するということで検討されていたのに、入れないならその理由を説明すべきだ」「子どもが納得して一時保護を受けられるようにすることが大切だ。学校へ通学できる体制の確保や子どもの意見を聞く仕組み、専門職の配置が必要ではないか」など、一時保護をしている児相の実態と合わないという指摘や子どもの権利の保障を求める意見が出た。

 また、会合の後半では、厚労省から新たに子ども家庭福祉分野の専門性を向上させるため、子どもの支援や虐待予防、課題のある家庭の支援などを担う専門職として「子ども家庭福祉ソーシャルワーカー(仮称)」の資格創設について説明があり、資格付与に必要な要件などが提案された。
 厚労省では年明けの法改正を視野に、年内に議論の取りまとめを行う方針。

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