「現金より現物給付に効果」など提言 こども庁有識者会議

 子供関連の施策を総合的に扱う新しい行政組織「こども庁(仮称)」の創設などに向けた検討をしている、有識者会議の第3回会合が11月8日に開かれ、NPO法人や少子化対策に詳しい専門家など5人からヒアリングを行った。この中で大学教授から「少子化対策には現金給付(児童手当)より現物給付(保育所整備など)の方が費用対効果は高く、推進すべきだ」と提言されたのを始め、NPO法人の代表からは虐待リスクのある児童への支援が行き届いておらず、地域の居場所づくりや専門人材の確保育成が必要だといった意見が出された。

 「こども政策の推進に係る有識者会議」(座長=清家篤日本私立学校振興・共済事業団理事長)は、政府の「骨太の方針」で、子供に関する施策を総合的に扱う新たな行政組織の創設が明記されたことを受けて発足。中教審など関係省庁の審議会の座長ら6人と、子供支援などに取り組むNPO団体の代表など18人の臨時構成員で組織され、年末までに「こども政策」の基本理念や方向性について取りまとめることにしている。

 同日は、臨時構成員を務める5人からヒアリングを行った。この中で、困難を抱える子供を支援するNPO法人「Learning for All」の李炯植(り・ひょんしぎ)代表理事は、虐待死リスクのあるゾーンとリスクの低いゾーンの間のイエローゾーンにかなりの子供がいるが、児童相談所の体制などは限界で、十分な支援が行き届いていないと指摘。「中学校区に1カ所、困ったときに頼れる居場所を作ることや、子供の支援を担う専門人材の確保育成が必要だ」などと提言した。

 また、東京大学大学院の山口慎太郎教授は「これまでの政策は夫婦全体の子育て負担に着目して、夫婦間のアンバランスにメスを入れていなかった」と指摘。少子化対策としては児童手当などの「現金給付」より、保育所拡充や待機児童解消などの「現物給付」の方が、女性の子育て負担を直接軽減できて費用対効果が高いとして、男性の育休推進なども含めた政策の推進の必要性を強調した。

 鹿児島県のスクールカウンセラーでもある鹿児島大学の吉村隆之准教授は、SC(スクールカウンセラー)やSSW(スクールソーシャルワーカー)の配置はかなり進んできたが、配置時間が限られるなど子供への十分な支援ができていないと問題点を指摘し、効果的・計画的に地域や学校に配置していくと共に、学校の生徒指導会議などに積極的に参加することで、気になる子供の早期発見、早期対応につなげるべきだと提言した。

 同会議では、この日で18人の臨時構成員のうち15人からのヒアリングを終了。次回は残る3人からヒアリングを行うと共に、子供に関する総合的な政策づくりに向けた議論なども交わす方針。

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