困難抱える子取り残さない 全国教育長会議で山野教授講演

 SDGsが注目される中、その原則である「誰一人取り残さない社会の実現に向けて」をテーマに、第18回B&G全国教育長会議(ブルーシー・アンド・グリーンランド財団主催)が11月9日、都内で開かれ、全国の自治体から教育長131人が参加した。スクールソーシャルワークが専門の山野則子大阪府立大学教授が講演し、全ての子どもが通う学校を拠点として、困難を抱える子どもを洗い出し、支援につなげていく重要性を訴えた。

都内で開かれた第18回B&G全国教育長会議

 コロナ禍で子どもの孤独・孤立や虐待が問題になる中、山野教授は「児童相談所が対応するのはごく一部。学校をプラットフォームとして活用し、また地域とつながって取りこぼさないようにすることが重要」と指摘。

 一方で、子どもが声を上げられず周囲が気付かない、学校組織が教師の「抱え込み」を生む、身近な支援が認識されず必要な子どもに届かないといった課題もあり、「教師は苦しい思いをしながら、ふたをしなければならない状況だ」と述べた。

 その上で山野教授は、専用のシートを使って子どもたち全員の中から困難を抱える子どもを洗い出し、適切な対応を簡単に行えるようにする「スクリーニング」を紹介。担任や養護教諭などが、遅刻・早退や保健室への来室頻度といった項目を数値化しながら、気になる子どもを見つけ出し、SSW(スクールソーシャルワーカー)、SC(スクールカウンセラー)などと共に支援の方向性を決めていくという取り組みについて述べた。

 次いで、2018年度からスクリーニングを取り入れている大阪府能勢町教委の加堂恵二教育長、学校教育総務課の川本重樹参事も登壇。教員や学校管理職のほかSC、SSW、町の社会福祉士などが参加し、スクリーニング会議を実施している様子を報告した。

 川本参事は「小学校では学年で見守る体制の強化、中学校では気になる子どもについて話す機会が作られた。早期発見・早期対応のほか、地域の子ども食堂など外部との連携が日常的にできるようになった」と語った。また取り組みの工夫として、小さな集団で開始したこと、社会福祉士が日頃から学校に出入りするようになり、気軽に連携できる体制作りができたこと、SSWが先頭に立ってスクリーニング会議を進めたことを挙げた。

 参加した教育長からは「学校や教委に拒否的な態度を取る保護者で、苦労した事例はあるか」と質問が挙がった。山野教授は「拒否的なケースを問題だと思わずに、当たり前だと思ってほしい。しんどい思いをしている保護者は多く、問題視する切り込み方ではヒットしない。教育長の立場では『ダメなものはダメ』と言う必要もあるかもしれないが、保護者のしんどさを分かって対応できる人を作ってほしい」と応じた。

 また能勢町の川本参事は「学校だけでなくSC、SSW、町の家庭教育支援チームを置いたことで、どこからのアプローチが最適なのかを考えられるようになった」と話した。

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