休校に感染抑制効果見いだせず 学習院大の福元教授が発表

 昨年春の小中学校の臨時休校は、新型コロナウイルスのまん延を抑制する因果的な効果はなかったとする論文を、学習院大学の福元健太郎教授らがこのほど、『ネイチャー・メディシン』誌に発表した。先行研究と比べ、休校と感染拡大防止の因果関係について、より厳密な分析を行ったことが特徴。福元教授は11月10日に行った記者説明会で「休校の副作用を考えれば、休校は慎重に再検討する必要がある」と指摘した。

 これまでも休校と感染拡大防止の関係を調べた研究はあるが、福元教授によれば「効果があるとするものと、ないとするものがおよそ半々」で、その一因は「因果関係を明らかにする方法に不備があった点」だという。そのため、福元教授らが10月27日に発表した論文「日本における学校閉鎖の、2020年春の新型コロナウイルス感染症のまん延に対する因果的効果はない」では、因果関係の推定を厳密に行うことを目指した。

 今回の研究では、文科省が全市区町村に休校の有無を尋ねた8回の調査に基づき、休校した市区町村と休校しなかった市区町村で、毎日の新規感染者数を比較した。その際、「感染拡大を受けた休校」ではなく、「休校が感染拡大に与えた影響」という因果関係を明確にするため、マッチングと呼ばれる手法を使った。

 休校しなかった市区町村に対し、その市区町村と新型コロナウイルス患者数、生徒数、病院数など40以上の要因が似ており、かつ休校した市区町村を対にして比較することで、休校しなかった市区町村が仮に休校を実施していたら、感染者数がどれほどになっていたかを推定。

 その結果、休校した市区町村の方が、休校しなかった市区町村よりも、新規感染者数の平均値が統計上、有意に少ないという証拠はほとんど得られなかった=図表。

【図表】4月6日の休校の有無と新型コロナウイルス感染者数

 福元教授は「学校が休校になっても、学童などの居場所に集まることができたことや、休校しなくても万全な感染対策を取って臨んでいたことが背景にあるのではないか」と推測。「感染がより悪化し、変異株も出現した今年度以降も、この結論が当てはまるかは分からない」と研究の限界も示した上で、「休校の判断にあたっては、市区町村単位で日ごとに監視することが重要。ただ、副作用を考えれば休校は慎重に再検討する必要がある」と指摘した。

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