一時保護の司法審査制度案 厚労省検討会も慎重意見続出

 虐待の可能性などから、児童相談所が子どもを一時保護とした場合に、新たに司法審査を導入することを議論してきた厚労省の「児童相談所における一時保護の手続き等の在り方に関する検討会」は11月15日、検討会としては最後となる第9回会合を開いた。厚労省や法務省、最高裁によるワーキンググループ(WG)の、一時保護の司法審査に関する具体的な制度案が提示され、構成員からは実際の運用面などの観点により、さらなる慎重な検討を求める声が相次いだ。

一時保護の司法審査に関するWG案を協議した検討会(YouTubeで取材)

 児相は事前または一時保護開始から一定期間内に、裁判所に対して「一時保護状」の発付を書面で請求する手続きを行うことを柱とするWG案は、11月5日に開催された「社会保障審議会児童部会社会的養育専門委員会」でも議題とされており、そこでは「一時保護は子どもの権利の制約であり、子どもの意見聴取など子どもへの手続き保障を設けるべきだ」「児相が一時保護開始前に請求するのは現実的ではない」などの批判的な意見が出ていた。

 この日の会合でも、WG案に対し「一時保護が裁判所によって却下された場合に、保護者から児相の適格性や信頼性が疑われ、相談援助の面で保護者と児相で分断が強化されると感じる。却下された場合にどうフォローアップするのかを精緻に議論する必要がある」「性的虐待のケースは微妙なところがある。なかなか性的虐待の事実を押さえられず、まずは一時保護して子どもの安全を確認して、本人が話してくれるまで待つ。そこから保護者に事実を確認する。そういった身体的虐待とは違う一時保護もあるので、一時保護のガイドラインをどう想定するかといった議論が必要なのではないか」「子どもが一時保護されて、やっと人に意見を言えるようになるまでのプロセスには時間がかかる。一時保護の受け入れ先となっている乳児院や里親の声もしっかり聞く必要がある」など、運用面での議論が不十分であるとの指摘が相次いだ。

 また、検討会座長の吉田恒雄・児童虐待防止全国ネットワーク理事長も「検討会で実態調査をしたら、児相の意見が賛成と反対半々で、児相が反対した理由は業務負担だった。常勤弁護士だけでなく、書類を集めたり家裁に行ったりする法務に従事する職員を含めた専門職が必要だ。そういう手当てをしないと、児相のソーシャルワークに支障が出る。そうなれば本末転倒だ。一時保護所にいる子どもの権利制限の問題や学習権、環境の問題も出た。一時保護所独自の基準を作ることなどを今後どう見直しのレールに乗せるのか。それを示さないと、今回この検討会で議論した意味がない」と、検討会でのこれまでの議論を受けて異例の注文が出される一幕もあった。

 一時保護に関する司法制度の導入に関して、厚労省では引き続き社会的養育専門委員会などで議論を重ね、年明けの法改正を目指すとしている。

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