子供見守るデータ連携基盤の整備加速へ デジタル臨調

 国や地方のデジタル化推進などを検討する政府のデジタル臨時行政調査会(会長・岸田文雄首相)の初会合が11月16日、首相官邸で開かれ、岸田首相は、即座に対応する課題の1つとして、貧困や虐待などから子供たちを保護するためのデジタル基盤の整備を急ぐ考えを示した。子供たちを見守るデータ連携システムの整備は、現在、内閣府を中心に検討が進められており、新たに創設が検討されている「こども庁(仮称)」に受け継がれる見通し。政府は来年度予算でシステムの実証実験に向けた経費を盛り込み、教育・福祉のデータを一体化した子供見守りのシステム整備を加速させる方針。

デジタル臨時行政調査会で発言する岸田首相(首相官邸HPから)

 政府のデジタル臨時行政調査会は、デジタル化の急速な進展を踏まえて、国や地方のデジタル化推進や規制改革などを一体的に検討するため設置された。初会合では、はじめにデジタル庁から調査会の論点が示され、デジタル改革や規制改革など全ての改革に通じる「デジタル原則」を共通の指針として策定することや、子供に関する重要課題への対応を含めて、教育や医療分野などで重点テーマを決めて制度・システムを一体的に見直していく方向性が説明された。

 続いて出席した構成員や有識者から意見が述べられ、有識者の一人は「教育現場で起きている情報や地域家庭の情報、福祉の情報がつながらず、子供の虐待や貧困などについて自治体内でも連携できていない。この結果、大変不幸な事件が起きている。こうした事件を防ぐため、子供に関するデータを連携する基盤整備をデジタル庁にお願いしたい」と提案した。

 また、特にデジタル分野で市町村間のサービス格差が広がっているとの指摘が相次ぎ、前文科相の萩生田光一経産相から「GIGAスクール構想で児童生徒の1人1台端末が広がり、全国の自治体にインフラ整備のため予算もつけたが、4月時点で1500校も光ファイバーにつながっていなかった。市町村にここまではやってほしいというミニマムスタンダートを定めないと、自治体間に大きな差が生じてしまうのではないか」と問題提起する発言があった。

 こうした議論を踏まえて岸田首相は「来年春には、デジタル時代にふさわしい経済社会構造を作るための、一括的な規制見直しプランを取りまとめたい」と述べた上で、出席者の発言を受けて即座に対応する課題の1つとして、「貧困や虐待などから保護を要する子供たちを見守るため、デジタル大臣を中心に、子供たちの生活に関わる関係機関のさまざまな情報を集約するデジタル基盤を整備する」と明言。スピード感をもって政策実現を急ぐ姿勢を示した。

 子供を見守るためのデータ連携を巡っては、現在、内閣府が「貧困状態の子供の支援のための教育・福祉等データベース」の構築に向けて、研究会を立ち上げて検討を重ねている。これまで個人情報保護の問題から共有が進まなかった教育や福祉に関するデータを連携させて子供を保護するシステムで、来年度には一部自治体で実証実験を行うための経費を来年度予算に盛り込む方針。

 初会合の後にブリーフィングした小林史明デジタル副大臣は「すでに幾つか、教委や福祉部局の持っているものを子供データベースとしている自治体がある。こうした例を参考にどこまで国が共通につくるのか、アプローチが幾つかあると思うので、検証した上で実現したい」と述べた。

あなたへのお薦め

 
特集