こども食堂を貧困対策でなく多世代交流拠点に 支援団体提言

 こども食堂への支援活動に取り組む認定NPO法人「全国こども食堂支援センター・むすびえ」の湯浅誠理事長が11月18日、自民党の議員有志の勉強会で講演し、「こども食堂は多世代が交流する拠点として広がっている。貧困対策というと子供たちが来づらい場所になってしまうので、地域づくりの拠点と位置付けてほしい」と提言した。また、創設が検討されている「こども庁」について、「こども食堂の食材確保につながるフードロスは農水省や環境省、こども食堂は内閣府と関係する省庁がまたがっており、こども庁に総合調整機能の役割を発揮してほしい」と要望した。

 湯浅理事長は、「こども庁」創設を目指す自民党の議員有志の勉強会にオンラインで参加し、こども食堂を取り巻く現状や課題について講演した。はじめにこども食堂の数について、「全国に約7000ある子供の居場所のうち約5000がこども食堂と言われ、毎年1000カ所ぐらいのペースで増え続けている」と述べ、子供の居場所として中心的存在になっていると説明。「このうち4000カ所については、誰でも利用できるオープン型、共生型で、子供を真ん中に置いた多世代交流の地域拠点となっている」と述べた。

子ども食堂について提言した湯浅理事長

 その上で、特にこども食堂が持つ多面的・多機能な特長を強調。「貧困などの課題を抱える子供もいれば、孤食対応や地域のにぎわいづくりなど、さまざまな役割を果たしている。貧困対策の場というと子供たちが来づらい場所になってしまうので、もっと広い地域づくりという領域で位置付けてほしい」と提言した。

 また、子供が利用する視点に立った場合、貧困状態にある子供に限らず、見た目では分かりづらいが修学旅行に行けない「黄信号」の子供たちが気軽に訪れて相談できる予防的機能があるのに加え、それ以外の子供たちも異年齢の子供や世代を超えて交流できるという、全ての子供たちの居場所となる空間であることを強調。2025年には全国約2万カ所の全小学校区に、こうした居場所をつくりたいと述べた。

 これに対してオンラインで出席した国会議員や地方議員から質問や意見が寄せられた。全国でいち早く郵便局の協力で家庭で消費されない食材を集めてこども食堂に届ける、「フードドライブ活動」の取り組みが進む鳥取市の市議は「今年7月からはコンビニチェーンも食材集めに協力してくれるようになった。コロナ禍で人が集まれなくても予約制や弁当の提供などを工夫して活動しており、居場所は作れば続くものだと知ってほしい」と活動状況を紹介した。

 こうした意見を踏まえて、湯浅理事長は「こども庁」への期待について、「フードロスとこども食堂はとても相性がいいが、最終的に誰が運ぶかというロジスティクスの問題がボトルネックであり、一緒に考えてほしい。また、フードロスについては農水省や環境省、こども食堂は内閣府と省庁がまたがっているため、好事例などの情報をどこが集積するか宙に浮きがちであり、こども庁には総合調整機能の役割を発揮してほしい」と要望し、締めくくった。

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