【免許更新制廃止】「来年度から更新講習は不要」 文科相表明

 教員免許更新制を発展的に解消し事実上廃止するスケジュールについて、末松信介文科相は11月19日の閣議後会見で、「新たな仕組みに早期に移行する必要がある。次期通常国会で法改正が認められた場合、時間を置かずに速やかに施行する方向で進めるよう事務方に指示した」と述べ、来年度中に関連する改正法を施行する考えを表明した。さらに「来年度、法律が施行されて以降に免許の有効期限を迎える教員は、免許状更新講習の受講や免許更新の手続きの必要がなくなる」と述べ、実質的に来年度から免許更新講習が不要になることを明らかにした。

記者会見する末松文科相

 末松文科相は、新たな教師の学びの姿を巡り、中教審の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会から11月15日に手渡された審議まとめについて、①教員免許更新制の発展的解消②研修について、主体性を有しない教師に対する対応などを明らかにする国の指針(ガイドライン)の改正③公立学校教員の任命権者に対する研修受講履歴の記録管理や、受講の奨励の義務付け--と3つの内容に整理。

 この提言を受けた対応について、「私としては、審議まとめを踏まえた新たな仕組みに早期に移行する必要があると考えた。このため、事務方に対して、教員免許更新制の発展的解消と国の指針の改正について、次期通常国会で法改正を認められた場合、時間を置かずに速やかに施行する方向で検討・調整を進めるように指示した」と説明した。

 その上で、免許状更新講習について、「こうした内容を盛り込んだ法改正が実現した場合、来年度、法律が施行されて以降に免許の有効期限を迎える教員は、大学における免許状更新講習の受講や免許更新の手続きの必要がなくなる。各大学は、こうした状況を踏まえ、来年度の免許状更新講習の開講について、適切に判断してほしい」と述べた。

 通常国会は例年、1月に召集され、3月末まで来年度予算案と関連法案を審議し、その後、それぞれの法案が審議される。来年は夏に参院選が予定されているため、6月中に閉会するとみられている。教員免許更新制の廃止は教育職員免許法(教員免許法)、新たな研修制度は教育公務員特例法についてそれぞれ法改正が審議されるが、順調にいけば、6月中には遅くとも成立する見通し。

 文科省では「施行日は今の段階で明言できないが、法案成立後、なるべく早いタイミングで施行したい。施行日以降は、教員免許更新制が存在しなくなるので、教員にとっては免許状更新講習の受講も不要になる。教員免許の有効期限はほとんどの教員が年度末になっているので、その人たちにとっては更新講習を受けなくてもよくなる」(総合教育政策局教員免許企画室)と説明。

 「ただ、今年度末に免許の有効期限が切れる教員や、来年度でも産休・育休や海外在住などの影響で法施行日以前に免許の有効期限が切れる教員は、更新講習を受けないと免許が失効してしまうので注意してほしい」(同室)と呼び掛けている。

 教員免許更新制の廃止に向けたスケジュールについては、萩生田光一前文科相が8月23日、「通常国会(での法改正)が来年となると、再来年が最短のスタートの年かなと思っている」と述べ、2023年度廃止の見通しを示していた。末松文科相が22年度中の廃止を表明したことについて、同省では「中教審の審議まとめがまとまり、文科省内で検討や調整を進める中で、スケジュールを上書きする形になった」(同室)としている

 一方、公立学校教員の任命権者である教育委員会に対する、研修受講履歴の記録管理や受講の奨励の義務付けについて、末松文科相は「都道府県等において準備が必要。23年度から実施することを念頭に置いて、来年度、国会で法改正が認められた場合、できるだけ速やかに実施するよう、都道府県等に働き掛けていきたい」との考えを示した。

 この背景について、同省では「研修受講履歴の記録管理は、すでに7割を超える教育委員会がシステム上で実施している。法律による義務付けは重い措置なので、23年4月1日とするが、それに先立ち、記録管理ができる自治体はどんどん進めてほしい」(同室)と説明している。

 教員免許更新制は、免許に10年の有効期限を設け、更新に当たって30時間以上の講習を受けることを義務付ける制度。毎年、小学校、中学校、高校、特別支援学校などの教員約10万人が更新講習を受けている。講習費用として約3万円が自己負担となるほか、「受けたい講習が受講できない」などの不満が教員から出ていた。中教審特別部会は審議まとめで「教師の新たな学びの姿に対して、教員免許更新制は阻害要因」と結論付け、末松文科相に対応を求めていた。

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