いじめ重大事態、教委にアンケート調査実施へ 文科省

 文科省は11月22日、今年度「いじめ防止対策協議会」の初回会合を開き、いじめの重大事態について「学校がいじめとして認知できなかった」「迅速な調査組織の設置や調査の開始に至らなかった」といった課題があるとして、教育委員会にアンケートを実施する方針を決めた。アンケートにより現状把握を行いながら、重大事態調査での初期対応、委員の人選・人材の確保、被害児童生徒・保護者への対応などを協議する。

オンラインで開催されたいじめ防止対策協議会の新井座長

 同省は▽事案が発生したにもかかわらず、学校がいじめとして認知できなかった▽重大事態の疑いのある事案が生じていたが、迅速な調査組織の設置や調査の開始に至らなかった▽調査組織の委員の選定において、中立性・公平性が担保されていない▽自治体によって経験値も異なり、調査目的・範囲・調査方法・関係する児童生徒や保護者への対応方法などに差がある▽関係する児童生徒や保護者に対し、学校または学校の設置者による重大事態調査の目的や方向性、調査組織やスケジュール感等の説明が不足している――といった課題を指摘。

 その上で都道府県・政令市教委向けにアンケートを実施し、重大事態調査の運用状況を把握するとした。具体的には、重大事態調査の実施にあたっての組織体制や役割、予算、マニュアルの有無とともに、都道府県教委による市町村教委への支援などについても聴取する。今年12月に各都道府県教委に送付し、来年1月に回収する見込み。結果は同協議会の参考資料としてのみ扱い、原則公表はしない。

 新井肇座長(関西外国語大学外国語学部教授)は開催にあたり、「コロナ禍でGIGAスクール構想も一気に加速し、子供たちが端末を手にして、今までとは違う環境も生まれてきた。重大事態だけではなく、いじめをなくしていくために背景調査をどう進めていったらよいのか協議し、一つでもいじめをなくす方向で、重大事態の背景調査について考えていきたい」と語った。

 中田雅章委員(公益社団法人日本社会福祉士会副会長)は「学校長にとって、重大事態の調査に入るハードルは非常に高い。重大事態に陥るインシデント(危難発生の恐れ)の段階から、外部機関と連携しながら対応していく必要がある」と指摘した。

 また、池辺直孝委員(神奈川県立湘南高校長、全国高等学校長協会生徒指導研究委員会委員長)は「重大事態になるかもしれないと、全ての事象・事案で見通しを立てた中で、学校での調査をしていくことが一番大事だ。間違っても、『いじめはありませんでした』という無責任なことを、学校長は言ってはいけない」と応じた。

 小正和彦委員(横浜市立みなとみらい本町小学校長)は「重大事態になった時に、子供と保護者に対するケアがかみ合わないことが多い。子供には新しい前向きな方向へ、どういう選択肢があるかを考えることが望ましいと思うが、保護者にとっては加害者や学校への責任追及のウエイトが高い」と、現場での対応の難しさを吐露した。

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