ワクチン効果「100%ではない」 衛生管理マニュアルを改訂

 文科省は11月22日、学校での新型コロナウイルス感染症対策の指針となる衛生管理マニュアルを改訂した。ワクチンの効果は100%ではないため、引き続き感染予防対策を継続する必要があることや、マスクの素材として不織布マスクが最も高い効果を持つことを追記するなど、今年5月に一部修正して以降の新しい動きや知見、データを反映させている。衛生管理マニュアルは「この一冊を読めば、学校における新型コロナ対策の取り組み方が分かる」(同省初等中等教育局健康教育・食育課)ことを目指して改訂が重ねられており、今回でバージョン(Ver.)7となる。

 改訂版ではまず、学校における新型コロナウイルス感染症について、長期休校が終わった昨年6月1日から今年10月31日までに、児童生徒ら8万4211人、教職員7843人の感染の報告があったと現状を説明。▽小学生の70%をはじめ、多くの学校種で「家庭内感染」が最も高い割合となっている▽小学校、中学校、高校と段階が上がるほど「感染経路不明」の割合が増加する傾向が見られる――と分析。特に高校では、「感染経路不明」が40%になるとともに、「学校内感染」も19%と他の学校種と比較して高い割合となることから、感染対策について生徒自ら留意するように指導することが必要だと、改めて指摘した。

 5人以上の感染者が確認された、いわゆるクラスターの事例は3300件(小学校1047件、中学校801件、高校1382件、特別支援学校70件)。最近では小中学校でもクラスターが増えていることに注意を喚起している。このうち、10人以上の感染者が確認された事例では、高校の部活動や寮での発生が多いほか、放課後児童クラブやデイサービスなどでの事例も確認されている。

 子供への感染の特徴についても知見を更新。▽子供の症例では、無症状者や軽症者が多い▽重症化、死亡の割合は、若者は低い傾向がある▽デルタ株は従来株よりも感染性が高いことが示唆されているが、子供に感染した場合も従来株より重症化する可能性を示す証拠はない--などと記述している。

 学校における感染症対策の考え方では、「学校においては、時々の地域の感染状況に応じた感染症対策を徹底し、特に、部活動や寮生活における集団感染に気を付けることが重要」「変異株であっても基本的な感染予防対策は従来株と変わらず、『3つの密』(特にリスクの高い5つの場面)の回避、マスクの適切な着用、こまめな換気、手洗いなどの基本的な感染症対策が推奨されている」との対処策を改めて確認。

新型コロナウイルス感染症に対する学校の行動基準

 従来通り、地域の感染レベルに応じて3段階で示した学校の行動基準に沿って、感染リスクを可能な限り低減しながら、教育活動を継続するよう求めている。地域の感染レベルについては、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会が11月8日に示した「新たなレベル分類の考え方」との対応を加えた=図参照

 マスクについては、「幼児児童生徒の発達段階や特性に応じた成長を支援する」として透明マスクの活用を追記。マスクの素材についても、「不織布マスクが最も高い効果を持ち、次に布マスク、その次にウレタンマスクの順に効果があるとされている」として、保護者への情報提供を促した。

 また、ワクチンと学校教育活動についても、新たな項目を追加した。ワクチンは「新型コロナウイルス感染症の発症を予防し、死亡者や重症者の発生をできる限り減らすことを目的として、接種を受けることが勧められている」とした上で、「その効果は100%ではないため、引き続き感染予防対策は継続する必要があるとされている」と説明。

 学校教育活動での留意点として「ワクチン接種の有無によって学校教育活動に差を設けることは想定されていない」とし、「予防接種はあくまで本人の意思や保護者の同意に基づき受けるべきこと、接種を受けるまたは受けないことによって差別やいじめなどが起きることのないように指導し、保護者に対しても理解を求めることが重要」と強調した。

 さらに、学校が生徒らの予防接種歴を把握する必要が生じた場合には、個人情報としての取り扱いに留意する必要があるとして、▽情報を把握する目的を明確にする▽本人や保護者の同意を得る▽他の生徒らに知られることのないような把握の方法を工夫する--などの留意点を挙げた。

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