ガイドライン策定巡り最終調整へ 外国人学校の保健衛生環境会議

 外国人学校の保健衛生環境の在り方を検討している文科省の有識者会議は11月24日、第7回会合を開き、同省が実施した外国人学校の現状や支援状況などを巡る追加調査の結果が報告された。また同省側はこれを踏まえて、外国人学校向けのガイドライン策定の必要性などを盛り込んだ最終取りまとめの素案を示した。委員からは「ガイドラインの実効性をどう確保していくかなど、イメージを共有できる表現をさらに考えたい」などといった意見が出された。同会議は来月22日に最終会合を開き、最終取りまとめを行う方針。

オンラインで行われた有識者会議の佐藤座長

 同日の会合では、はじめに文科省国際課が先月から今月にかけて行った「外国人学校の保健衛生環境に関する追加調査」の結果が報告された。追加調査は、今年5月に行った実態調査の回答率が5割程度にとどまったことから、同会議委員からの求めに応じて実施したもので、現地調査も含めて外国人学校7施設と4自治体、それにNPO法人2団体を対象にインタビュー調査を行った。

 報告では、地元医療機関の事業を活用して健康診断を実施している外国人学校があったのに対し、未実施の施設があることや、認可外施設では保健室のない施設も目立ったことが説明された。こうした施設の中には、保健室や健康診断が必要と認識しつつも、人員や予算面から実現できないところもあり、支援の必要性が改めて強調された。

 一方で、群馬県大泉町では、ブラジル人ボランティアと連携して外国人学校への健康診断や保護者向けの保健指導講座を行っていることや、岐阜県美濃加茂市では、体重計などを貸し出しているほか、地元団体がかかりつけ医の紹介や多言語に対応した健康診断を行っていることも紹介され、地域で手厚いサポートをしている事例も報告された。

 続いて追加調査結果も踏まえた最終取りまとめの素案が示され、外国人学校が抱える課題として、▽外国人学校や子供の把握に関する課題▽保健衛生環境対策を講じる際の課題▽支援体制に関する課題――と3つを挙げた。具体的には、家庭内状況や言語の問題等で健康上のリスクが比較的高い可能性があることや、財政面に限界があり、保健施設設置や専門職の配置等を義務付けるのは負担が大きいことなどに、留意する必要性が指摘された。

 その上で外国人学校は一定の規模や水準を有する教育施設から認可外施設まで多様であることに加え、自治体や教育機関の間で差が大きいことから、外国人学校向けの保健衛生に関するガイドラインを策定することが望ましいとの文言が盛り込まれた。また、自治体の担当窓口を明確にすることや、都道府県や市区町村をまたいで通学する子供が多数存在することを踏まえた広域的な観点が必要であることも強調された。

 この素案に対し、安田圭一郎委員(岐阜県環境生活部私学振興・青少年課長)は「ガイドラインの実効性の確保などをどう明示するか、方向性のイメージについて共有できる表現がどこまでできるか、検討の余地が残っていると思う。また、自治体に対して一定の責務というか、どこまで関わるべきかを視野に入れたガイドラインを検討すべきだ」と述べた。

 北垣邦彦委員(東京薬科大学薬学部教授)は「コロナウイルス対策は非常事態、緊急事態へのガイドラインであるが、平時のガイドラインを考える上で、学校保健安全法が基本となる。ただし、大規模な学校なら建築物衛生法が、働く職員の立場からは労働安全衛生法があるので、日本の保健衛生管理に関する法令等を中心にガイドラインを作ることが求められると思う」と指摘した。

 こうした意見を踏まえて座長の佐藤郡衛明治大特任教授は「ガイドラインを策定することは必要だが、それをどう実現していくかが重要だ。財政支援や各組織の連携の在り方を含めて、取りまとめに反映したいと思う」と述べ、ガイドラインの策定に関する記述などを最終調整して次回の会合で最終取りまとめを行う方針を示した。

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