高校1人1台環境整備に41億円 都教委22年度予算要求

 東京都は11月25日までに、教育委員会の2022年度予算要求(見積)をまとめ、教育のDX(デジタル・トランスフォーメーション)推進の一環として、都立高校などの1人1台端末環境の整備に41億円を計上した。端末は保護者負担で購入するが、都が一部を補助する形で、22年度の入学生から段階的に整備する。さらに1人1台端末の活用を見据えて通信環境の増強を図るほか、特別支援学校や工業高校でもデジタルを活用した取り組みを進める。

11月25日に開かれた都教委の第18回定例会

 東京都の22年度予算見積は8754億円で、前年度当初予算額より117億円増加した。うち都立・公立学校の教職員の給与関係費は7101億円(前年度比74億円増)、事業費が1652億円(同42億円増)となった。

 事業費では「教育のDX化推進」を一つの柱として▽高校段階における1人1台端末の整備(441億円)▽特別支援学校におけるデジタル活用(1億8900万円)▽新しい工業高校実現に向けた取り組み(1億2200万円)▽デジタルを活用した児童・生徒の心のケア(1億3400万円)――といった施策を盛り込んだ。

 その中で高校の1人1台については、学校や学科ごとに3種類の端末から選ぶ方式を採用する。保護者の負担額は世帯所得にかかわらず一定となるよう、都が補助する。さらに生活保護受給世帯や住民税非課税世帯などに対しては、都の給付型奨学金を活用し、保護者の負担を軽減する。

 端末調達時の価格上限は8万~11万円だが、東京都教育庁の担当者は「最終的な購入価格について現在、納入事業者との調整を進めている」として、大量調達による価格交渉や、都の補助金の活用により「保護者が安価に購入できるようにしたい」と話す。

 また、今年9月までにほぼ全ての都立学校で無線LANの整備が完了しているが、今後の1人1台の導入も見据え、通信環境の増強を図る。さらに一部の研究指定校でAI教材の導入を実験的に進め、効果を見極めながら他の学校への導入も検討する。

 特別支援学校におけるデジタル活用では、知的障害特別支援学校向けの独自デジタル教材を開発するほか、聴覚障害特別支援学校向けのデジタル式の集団補聴システムを整備する。また工業高校では最新のDX機器導入による質の高い実習環境の構築や、先端技術活用の研究校でVRの実践などを行う。

 またデジタルを活用した児童・生徒の心のケアについては、小中学校・特別支援学校向けに、メンタル面での不安定さを可視化する質問回答ツールをモデル校で導入するほか、都立学校の生徒がクラウドサービスを利用し、メンタルケアに関わるアンケートに回答するシステムを取り入れる。

 11月25日に開かれた都教委の第18回定例会では、委員から「DXによってどのようなコストが減り、浮いた分の予算をどのように活用するのかなど、DXを進めることの意義を現場が分かるように説明してほしい」「DXとは、これまで紙でやってきたことをデジタルにするだけでなく、これまでのやり方自体を変えることだ」といった意見が寄せられた。

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