特異な才能への支援策 教委の9割が「なし」と回答

 同年齢の児童生徒の中で、知能や創造性、芸術、運動、特定の学問ごとの能力で一定以上の能力を示す「特異な才能のある児童生徒」に関する文科省のアンケート調査で、回答した504の教育委員会のうち、94.0%に当たる474の教委が支援策は「なし」と回答していたことが11月29日、文科省の有識者会議で報告された。その理由としては、対象児童生徒の選定、人材・予算の確保や組織体制、指導・支援の方法などに関する課題が挙げられた。

 文科省のアンケート調査は、特定分野に特異な才能のある児童生徒に対する支援の現状についておおまかに把握するため、今年8月27日から9月24日にかけて行われた。文科省のウェブサイト上に設けられた回答フォームに、公立学校の設置者である各教委が任意で回答する形式で実施した。

 その結果、特異な才能を伸ばしたり、特異な才能を有することに伴う困難に対応したりするための支援策が「ある」と答えた教委の数は30、「なし」が474となり、支援を行っている教委が一部にとどまることが分かった。「ある」と答えた教委では、外部の指導者などによるプログラムの希望者への提供や、コンテストや体験教室などのイベントの実施、補助金や奨励金などの支給などが挙げられた。

 一方、「なし」と回答した教委からは「該当する児童生徒の抽出基準が定まっていない」など、対象となる児童生徒の基準を設けることが難しいという声や、「指導者の専門性の担保および事業の実施など、各自治体単位での支援には限界がある」といった、個々の実態を踏まえた支援体制を作ることが困難であるという声が寄せられた。

 また、「支援施策の在り方、事業実施の具体的計画が立案しにくい」という指導・支援の方法の課題や、「有効な指導・支援についての認識や研修なども進んでいない」など専門性を持った人材の養成・育成の課題、「特定の児童生徒に対して支援を行うことが、不公平感につながることも危惧される」といった公平性の観点を挙げる教委もあった。

 その上で、対象者の決定に関する判断基準や、指導・支援の方法を示してほしいという声、予算面での支援を求める声などが挙がった。また、地域の博物館など外部機関との連携の必要性を指摘する声や、「地方に行けば行くほど、社会的な受け皿や、学習塾・芸術文化関連施設が少なくなる」として、新たな場や機会を設ける必要があると訴える声もあった。

 同日の有識者会議で文科省から出された論点整理のたたき台では、「特異な才能のある児童生徒の特性や効果的な支援の方法などについて、まだ十分に知られていないと考えられる」と指摘。また「特異な才能のある児童生徒の特性やその支援などに取り組むことの必要性、効果的な方法についての理解が進まなければ、その児童生徒に対する学校における適切な指導・支援や学校外における学びには結び付かない」として、教員を中心に、教育行政に携わる者への理解を広めることの重要性を強調した。

 有識者会議では委員らから「全員に同じ時間、同じ指導を与えていることが機会均等ではなく、いろいろな差があっても、どの子も質の高い学習が保障されるということが重要で、そうした考え方を明確にしていく必要がある」「学校や先生、保護者の困り感が、教委で十分に把握できていないのでは。制度として具現化するため、事例を積み重ねていく段階であり、事例を検証していく中で、全国的に展開可能な制度を考えていく必要がある」といった意見が挙がった。

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