コロナ禍の子どものメンタルヘルス スマホがリスク要因

 新型コロナウイルスが子どものメンタルヘルスに与える影響について、弘前大学の研究グループはこのほど、低年齢の子どものスマートフォンの所有が、コロナ禍でのメンタルヘルスのリスク要因になっている可能性があるとする研究成果を発表した。スマートフォンを持っている子どもとそうでない子どもを比較したところ、昨年12月と今年3月の時点で、スマホを持っている子どもの抑うつ症状が、持っていない子どもよりも有意に悪化した。特にこの結果は小学4年生で顕著だった。

スマホの所有群と非所有群の抑うつ症状の経時的変化(足立准教授提供)

 同学大学院保健学研究科の足立匡基(まさき)准教授らの研究グループは、青森県内の小中学校で定期的に行っている「心のサポートアンケート」の一環で、コロナ禍の新しい生活様式における子どものスマホ所有の有無と、抑うつ症状の経時的な関係性を検証。

 2019年9月の時点で小学4年生から中学1年生だった児童生徒とその保護者を対象に、有効回答が得られた4227組について、新型コロナウイルスの感染拡大が始まる前の19年9月(Wave0)と、コロナ禍にあった20年7月(Wave1)、20年12月(Wave2)、21年3月(Wave3)の4つの時期ごとに、国際的に用いられている抑うつ症状を定量化する尺度であるPHQ-Aを用いて、子どもたちの抑うつ症状の程度を調べた。

 その結果、調査を始めた19年9月の段階では、スマホの所有群と非所有群の間には抑うつ症状の有意な差は見られなかったが、20年12月と21年3月では、所有群の抑うつ症状は非所有群と比べて有意に悪化していることが明らかとなった。所有群の抑うつ症状は調査期間中、一定水準を保ちあまり大きな変化がなかったのに対して、非所有群では時間の経過とともに改善する傾向が見られ、この傾向は小学4年生で最もはっきり出ていた。

 足立准教授は「スマホを持つこと自体がメンタルヘルスに影響があるのか、それとも低学年でスマホを渡してしまう家庭機能の低さがメンタルヘルスに影響を及ぼしたのかは、研究では明らかにできていない」と説明。

 「いずれにせよ、使用ルールなどを定めずに、スマホを手放しに与えてしまうことは問題だ。しかし、スマホは加齢とともに生活必需品に近いデバイスになっているし、いずれかの年齢で所持するのが一般的だ。もしスマホを与えるのであれば、フィルタリングなど、スマホの使用制限を有効にしたり、SNSの使用や利用時間、使用場所を制限したりし、もし違反したら、どのようなペナルティーがあるのかなどのルール作りを行うといった初期対応が重要になる」と指摘する。

 研究成果は11月15日付の精神疫学の学術誌『Social Psychiatry and Psychiatric Epidemiology』に掲載された。

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