新たな教師の学びへ「研修に多様性を」などの意見 中教審

 中教審の教員免許更新制小委員会で、教員免許更新制を事実上廃止する代わりに教員と学校管理職の積極的な対話を通して研修の受講を奨励し、「学び続ける教師」を目指すとした審議まとめが了承されたことなどを巡って、初等中等教育分科会は12月1日、オンライン会合を開いて意見を交わした。「教員研修には民間の研修も一部認めるなど多様性を考えてほしい」「研修によってインセンティブを働かせる仕組みが重要ではないか」などといった意見が出されたほか、学校の安全計画を巡っても議論され、「安全教育は教師主体から子供を主語に転換していくことが必要だ」と指摘する声などがあった。

オンラインで行われた中教審初等中等教育分科会の会合

 会合では、「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて」の審議まとめと、「第3次学校安全の推進に関する計画について」の答申素案を巡って意見が交わされた。審議まとめは小委員会が11月15日に了承したもので、教員免許更新制を「発展的に解消」することで事実上廃止。代わりに教員が受けた研修履歴をシステム上で管理し、教員と学校管理職の積極的な対話を通して研修の受講を奨励することで、「学び続ける教師」の実現を目指すとする内容。

 堀田龍也委員(東北大学大学院情報科学研究科教授)は「研修の受講履歴管理などの方向性はよく、問題は研修の中身になると思うが、NPOなどの民間団体や先生が自主的に頑張っているセミナーなどもある。こうした研修は主体的な学びでもあり、全てを認めることは難しいと思うが、教員研修の基準を作って認定することで質も上がるので、研修の多様性も今後の議論の中で考えてほしい」と提言した。

 渡辺弘司委員(日本学校保健会副会長)は「ある分野の専門的な研修を受講したら、それを承認してインセンティブを働かせる仕組みが重要ではないか。質の向上が現場で評価されることで、個々の研修へのモチベーションが上がってくると思う。また、公的な研修を自宅で個人の時間で受講するとなると本末転倒なので、時間枠も考慮できる形で示してほしい」と述べた。

 また、松木健一委員(福井大学理事・副学長)は研修を提供する側の課題に触れ、「教師の新たな学びの姿を実現し、専門性を高度化していくときに教職員支援機構の果たす役割が非常に大きくなるが、今はマンパワー的にそれに十分応える機能がなく、これまで研修を担ってきた大学などと協働を組むことなども重要になる」と指摘した。

 一方、学校の安全計画を巡っては、先月26日に同分科会学校安全部会で示された第3次学校安全推進計画の答申素案について、文科省の担当者が改めて説明した。この中では、これまで危機管理マニュアルなどが整備されながら、必ずしも実効的な取り組みに結び付いていないとし、これらを見直すサイクルの構築を推進していくことや、学校安全の中核を担う教員の位置付けを校内で明確化することなどが示された。

 これについて学校現場の立場から、大字弘一郎委員(全国連合小学校長会会長)は「全国の小学校の3分の1は学年に1学級であり、10人程度の教員の規模でさまざまなことに明確化が求められている。スクラップアンドビルドの中でスクラップを考えないと、いくら重要でも学校がこなせない現状があることも理解して進めてほしい」と述べた。

 戸ヶ崎勤委員(埼玉県戸田市教委教育長)は「これまでの安全教育は教師主導になりがちだったが、大事なのは危険に気付いて安全な行動を取ることなどであり、安全教育も教科指導と同様に子供を主語にした学びや考えへの転換が必要と感じる。また、これまでは怖さや避難場所などを教える知識の防災教育だったが、ARやVRなどデジタルコンテンツを活用しながら知性や感性を磨くことが大切だ」と指摘した。

 また、外国にルーツを持つ子供たちの支援に取り組む田中宝紀委員(NPO法人青少年自立援助センター定住外国人支援事業部事業責任者)は「学校で学ぶ子供たちも多様化しており、地震のない国から来たり親が防災という観点を持っていなかったりと、文化的背景や地理的背景が異なる子供がたくさんいる。ARやIT活用では多言語化もできるので、多様な子供たちの安全を守るという視点も加えてほしい」と要望した。

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