10代の悲痛な声 ヤングケアラー支援でパネルディスカッション

 全国的に問題となっているヤングケアラーの支援をテーマにしたイベントがこのほど、鳥取県で開催され、(一社)ヤングケアラー協会の宮崎成悟代表理事やNPO法人D×P の今井紀明理事長らが登壇し、パネルディスカッションを行った。相談窓口に寄せられた10代の悲痛な声が紹介され、学校の役割も議論された。

 冒頭では、鳥取県を中心にヤングケアラーの支援にあたるN.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社の神戸貴子代表社員が、今年8月から9月にかけて実施したLINE相談窓口の結果について報告した。寄せられた相談の中には、「担任に相談するが『若いうちは(苦労は)
買ってでもしろ』と言われた」「導尿や摘便(てきべん)など、子どもがすることだと親に強制されている」など、深刻なものもあったという。さらに、介護だけでなく、それに付随した家族関係や学業の影響、経済困窮など複合的に問題を抱えている相談者が多い傾向にあった。

YouTubeライブでも配信されたイベント

 背景には、いまだにヤングケアラーに対する認知度が低い上に、「家族で解決しなければならない問題」「子どもが世話をするのは当たり前」といった価値観が根強いことが影響しているとの指摘もあった。

 神戸代表は学校の役割について、「先生方に、介護の大変さを理解していただきたい。また学校の中で、親や家族に介護が必要になったときどうするか想定する学習を取り入れてほしい。自分が学生や社会人だったらどうやって両立させライフプランを描くか、行政にはどんな支援があるかなど、そういった知識を身に付ける必要がある」と話した。

 中学時代から約17年間、難病の母親の介護を担うなどヤングケアラー当事者だった宮崎代表理事は、自身が介護を理由に大学進学を諦めた経験を振り返りながら、「家族の介護をしながらも学校に通えている子どもに対して、すぐには支援の必要性に気付かないかもしれない。しかし受験や就職など、人生のターニングポイントで一気に支援が必要な状態に陥る。そのタイミングに、相談できる大人が周りにいるかどうかで大きく変わってくる」と説明。

 さらに、学校生活と介護を両立させていた頃に母親の主治医から「大丈夫? 勉強できている? 何かあったら相談してね」と声を掛けられた経験を明かし、「日常的に見守ってくれる大人の存在が大切」と強調した。

 貧困などで悩む10代の支援として、LINE相談サービス「ユキサキチャット」を運営する今井理事長は「10代にとって、電話の相談はハードルが高い。またコロナ禍で明らかになってきたが、行政の支援制度は10代にとって分かりにくかったり、使いにくかったりする。多くの場合、紙ベースのものや窓口に行かなければ申請できない。困っているヤングケアラーに、情報が届いていないのではないか」と、オンラインでの支援体制の拡充を求めた。

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