頻発する豪雨災害に備えた学校施設を 有識者会議が発足

 毎年のように豪雨災害が各地で頻発する中、学校施設の水害対策を中心に防災・減災対策について検討する文科省の有識者会議が新たに発足し、初会合が12月9日、オンラインで開かれた。阪神淡路大震災などを機に学校施設の耐震化が進んだのに比べ、豪雨による浸水対策などには課題が多いとして、水害対策を中心に防災から復興までを視野に入れた対策を検討する。ヒアリングや先進地への視察などを含めて議論を重ね、2023年3月に最終報告を取りまとめる方針。

有識者会議で示された、過去の学校施設の豪雨被害を示す資料の一部

 新たに文科省に設置されたのは、「学校施設等の防災・減災対策の推進に関する調査研究協力者会議」(主査・中埜良昭東京大学生産技術研究所教授)。会合の冒頭、同省の下間康行文教施設企画・防災部長は「学校施設は、子供たちや教職員が安全安心に教育活動を行う場であるとともに、災害時は避難所でもあり防災対策の強化が大変重要だ。近年は気候変動に伴う水害や土砂災害の激甚化、頻発化で校舎や体育館が損壊する被害が生じており、水害対策を中心に幅広く防災・減災の推進について議論し、児童生徒の安全につながる提言をまとめていただきたい」と述べた。

 会合では、文科省の担当者が過去の災害による学校施設の被害状況や防災対策の取り組みについて説明。この中では、公立小中学校の校舎の耐震化率は99.6%に、つり天井の落下防止対策実施率は99.5%に達している一方、全国の公立学校の約2割が浸水想定区域に、約1割が土砂災害区域に立地していると述べ、対策の必要性を強調した。また、2016年の熊本地震では366の学校が避難所になったが、アンケート調査から、発災直後はトイレや自家発電設備の不備が、1カ月後には空調やプライバシーに配慮したスペースの確保に不備があったとの声があり、こうした点も考えておくべきと問題提起した。

 これを受けて各委員が意見を述べ、木内望委員(国立研究開発法人建築研究所住宅・都市研究グループ主席研究監)は「最近、被災想定がインフレ化していると認識している。3メートルや5メートルといった大きな浸水想定だけに目を向けるとなかなか進まないので、より頻度が高い災害に対し、重要な機能から守っていくという段階的な取り組みが重要だと思う」と指摘した。

 特別協力者として会議に参加した国立教育政策研究所の齋藤福栄文教施設研究センター長は「防災・減災対策と並んで、いかに早く立ち直るかという復興計画を平時に考えるという発想も必要だ。また、全国的に校舎の老朽化対策が喫緊課題となっており、防災対策とともに、教育の要請に応える高機能化などの整備を一体的に考えることも重要だ」と述べた。

 同会議では、下部組織として水害対策検討部会を設置し、今後は自治体からのヒアリングや先進的な事例の視察などを重ねながら議論。来年4月ごろに中間報告をまとめ、23年3月末をめどに最終報告をする方針。

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