「新たな教師の学び」への支援必要 中教審総会で意見相次ぐ

 中教審は12月10日、文科省で第129回総会を開き、教員免許更新制を発展的に解消して「新たな教師の学びの姿」の実現を目指すとした審議まとめや、第3次学校安全推進計画の答申素案に関して、出席した委員が意見を述べた。「新たな教師の学びの姿」を巡っては、審議の方向性に理解を示しつつ、学校現場の負担が重いとして、「全ての学校で学校産業医が管理できる体制を整備してほしい」「業務の見直しも必要だ」「学ぶ教師を支援するという観点が必要」などと、教員をサポートする仕組みづくりを求める意見が相次いだ。中教審では今後、小委員会で教員の養成、採用、研修の在り方について議論を重ね、来年夏ごろまでに一定の結論を示す方針。

教員免許更新制を巡る審議まとめを手にあいさつを述べる末松文科相

 中教審総会では、「『令和の日本型学校教育』を担う新たな教師の学びの姿の実現に向けて」の審議まとめと、来年度にスタートする第3次学校安全推進計画の答申素案について意見が交わされた。審議まとめは、教員免許更新制を発展的に解消することで事実上廃止し、代わりに教員が受けた研修履歴をシステム上で管理し、教員と学校管理職の積極的な対話を通して研修の受講を奨励する「新たな教師の学びの姿」の実現を目指す内容。今後、さらに教員制度改革に向けて教員の養成、採用、研修の在り方や社会人の登用促進などについて小委員会で議論を深め、来年夏ごろに一定の結論を示すことにしている。

 この審議まとめについて、委員からは方向性について理解を示しつつも、学校現場の負担に配慮した体制づくりを求める意見が相次いだ。渡辺弘司委員(日本学校保健会評議員)は「効果的かつ継続的な研修に教師の健康保持は必須だが、コロナ対策やGIGAスクール構想によるICT利用など、新たな業務で労働が過重傾向にある。全ての学校で学校産業医が管理できる体制を整備してほしい」と要望した。

 熊平美香委員(クマヒラセキュリティ財団代表理事)は「社会の変化や家庭の教育の質の低下などの問題で先生の負担は拡大する一方であり、先生の役割を整理することも必要だ。新しい教育のために学ばなければいけないという新たなテーマが加わるので、業務の見直し、役割の見直しも並行して進めるべきだ」と指摘した。

 後藤景子委員(奈良工業高等専門学校校長)は「教師が学び続けるための支援が必要だ。子供の伴走者である教師には子供と向き合うゆとりも必要であり、教員同士が補完し合うなど、チームとして対応できる仕組みも考えるべきだ」と述べた。

 こうした声も踏まえて、教職員支援機構理事長を務める荒瀬克己副会長は「教員に学ぶことを通じて教育の価値を再認識していただき、子供たちの学びを支えていく、そんな研修の仕方を形成しなければいけないと思う」と述べた。

 一方、来年度から始まる第3次学校安全推進計画の答申素案も示され、▽地域ごとのリスクを踏まえた危機管理マニュアルの見直し▽学校安全の中核を担う教員の位置付けの明確化▽ICT環境を活用した安全教育やデジタル技術を活用した防災教育の推進――などのポイントが説明された。

 これについて村岡嗣政委員(山口県知事)が、山口県内で進めている地域ぐるみの防災学習の事例を紹介しながら、「平素からの学校と家庭、地域の関係づくりが児童生徒の安全を守る要素になる。防災部局を受け持つ行政などの関係者が協力し、学校の範囲を超えた連携の推進が重要だ」と指摘するなど、地域ぐるみで学校の安全を確保する取り組みが必要だとする意見が複数の委員からも示された。

 総会に出席した末松信介文科相は「就任後、時間があれば教育現場を見てきたが、校長によって学校は随分変わり、教師は子供たちの人間形成に大きな役割を果たしていると気付いた。個別最適な教師の学び、協働的な教師の学びという視点を大事にしながら前に進むとともに、成長の種をまくには基礎的な教育が大事なので提言をいただきながら取り組みたい」と述べた。

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