いじめ加害者 中学教員の45.8%「出席停止にすべき」と回答

 学校でのいじめを巡り、被害児童生徒や保護者と学校側との溝が時間の経過とともに深まるケースが目立つことから、いじめ問題に取り組む内田良・名古屋大准教授や藤川大祐・千葉大教授ら有識者や弁護士による団体が、生徒・教員・保護者の三者を対象としたアンケート調査を行い、12月13日、文科省内で記者会見を開いて結果を公表した。調査結果によると、加害者となった生徒を出席停止にすべきだと考えている教員が小学校で33.7%、中学校で45.8%に上っていることが分かった。また、教員は保護者に比べ、「子ども一人の話だけでは判断が難しい」と考えている割合が高く、いじめの事実確認に対する時間感覚のギャップが生徒・教員・保護者の溝につながりやすいことが示唆されている。

 アンケート調査は今年8月、小学校の教員、小学校の保護者、中学校の教員、中学校の保護者、中学校の生徒それぞれ約400人、計約2000人を対象に、ウェブ上で行った。

加害者の出席停止について「とても思う」「どちらかと言えば思う」の合計

 いじめ防止対策推進法では、教育委員会はいじめの加害者となった児童生徒を出席停止にすることができるが、実際にはほとんど出席停止の措置は行われていない。これを受けて、いじめの加害者を出席停止にすべきかどうかと聞いたところ、「とても思う」「どちらかと言えば思う」の合計が小学校教員で33.7%、中学校教員で45.8%を占めた。中学校生徒は52.7%、小学校保護者は60.7%、中学校保護者は65.8%が、加害者の出席停止を支持していた=グラフ参照

 小学校と中学校の教員について、管理職と教諭に分けて集計したところ、「加害者を出席停止にすべき」と答えたのは、管理職38.7%、教諭40.3%で、管理職であっても加害者の出席停止を望んでいることが分かった。

 この結果について、調査にあたった内田准教授は「正直、すごく驚いた。子どもの教育を受ける権利に関わることなので、いじめの加害者であっても、学校に来るなというのは、かなり慎重にならざるを得ないが、それでも半分近い先生たちは出席停止にすべきだと考えている。いじめは、多くの場合、加害者が学校あるいは教室に居続けて、被害者がそこから離脱していく。被害者にとっては理不尽な状況が続いてきた。学校現場では管理職まで含めて加害者に対する出席停止の思いが強い一方で、現実にはそれが動いていないことが分かった」とコメントした。

 いじめに関わる生徒・教員・保護者の三者のズレについても、実態が浮かび上がってきた。いじめについて「子ども一人の話だけでは判断が難しい」と思うかどうかを聞いたところ、「とても思う」と答えた割合は、小学校教員で53.5%、中学校教員で44.6%だったのに対し、小学校保護者で28.9%、中学校保護者で21.4%となり、小学校の教員と保護者で24.6ポイント、中学校の教員と保護者で23.2ポイントのギャップがあった。

アンケート結果について説明する内田良・名古屋大准教授

 内田准教授は「教師は『子ども一人の話だけでは判断が難しい』と考えるが、一方で、保護者は『子どもが言っているんだから、判断がつくでしょう』と考えるというニュアンスが読み取れる。いじめ問題では、保護者が『学校は動きが遅いな』と思った途端にボタンの掛け違いが始まる。相手を1回疑ってしまうと、もう距離ができてしまう」と述べ、早期対応の重要性を指摘した。

 また、「いじめた生徒」と「いじめられた生徒」の責任について聞いたところ、生徒・教員・保護者の三者いずれもが、加害者である「いじめた生徒」の責任の比重が極めて大きく、被害者である「いじめられた生徒」の責任の比重は相対的に小さいと考えていることが分かった。ただ、生徒と教員の回答に比べ、保護者には「いじめられた生徒」の責任が大きいと考える人が多く、内田准教授によると、こうした傾向は男性の保護者に強いという。

アンケート結果にコメントする藤川大祐・千葉大教授

 藤川教授は、いじめの加害者の出席停止を求める意見が教員の4割前後に上ったことについて、「いじめ防止対策推進法での出席停止の措置がほぼ機能していないことが分かった」として、10月8日にいじめ防止対策推進法の改正を有識者グループとして提言し、校長に一定の裁量を与え、いじめの加害者を一時的に教室から退去させる措置の導入を求めたことに言及。「今回のデータによって、いじめの加害者をいったん教室から退去させ、被害者の安全を確保できるようにするという方向性が必要なことが確認できた」と述べた。

 また、生徒・教員・保護者の三者のズレについては「いじめの申し立てがあってから、どれぐらいの時間で事実確認をするのかが問われている」と指摘。千葉大教育学部附属中学校の現職校長という立場を踏まえ、「教員からいろいろな報告が上がってくるが、子どもが学校にいる時間であれば、放課後までに事情を聞いて、大まかな事実関係はつかめる。だから、おおむね1日以内に最低限の事実確認は行い、その確認をもとに対応することが基本だろうと考えている」と説明した。

 その上で「問題になったケースを見ると、学校は何日も事実確認をせず、1カ月、2カ月もたってから被害者側の強い申し出があって動いていることもある。この時間の問題が大きい。まずは早く動くことを共通認識にすることが必要だろう」と述べた。

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