幼保小接続カリキュラムを開発へ 来年度からモデル地域で

 文科省は12月15日、中教審の「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」の第5回会合で、来年度からモデル地域で5歳児~小学1年生の「架け橋期」におけるカリキュラムの開発・実践を進める方針を示した。モデル地域の自治体で関係機関からなる会議体を設置し、カリキュラムの開発を進めるとともに、教育の質についても検証する。

オンラインで行われた中教審「幼児教育と小学校教育の架け橋特別委員会」の第5回会合

 現状では「半数以上の園が行事の交流などにとどまり、資質・能力をつなぐカリキュラムの編成・実施が行われていない」「具体的なカリキュラムの工夫や教育方法の改善方法が分からない」といった課題が挙がっており、文科省は来年度から3年程度をかけて「幼保小の架け橋プログラム」を集中的に進め、カリキュラムや教育方法の充実・改善、手引きの開発などを進める方針としている。

 その一環として、来年度からモデル地域を選定し、「架け橋期のカリキュラム」の開発・実践に着手する。文科省では同特別委員会の議論を踏まえて、来年度の早い段階までに架け橋期のカリキュラムと教育方法の手引きや参考資料を示す予定で、モデル地域ではこれを活用しつつ、幼保小や教育委員会、教員養成大学、有識者などからなる「カリキュラム開発会議」を中心に開発を進めるほか、実施に必要となる教材や研修の開発なども進める。

 カリキュラムには、架け橋期にふさわしい活動の在り方や、幼稚園教育要領や保育所保育指針などに示されている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を踏まえた教育方法の改善の視点などを盛り込み、教育課程・保育計画の編成の前提となるものとする。

 ここでは「各園・小学校が共有の視点を持ち、教育課程や保育計画などで具体化しやすい工夫が必要」だとされており、「幼保小での活動」「指導上の配慮事項」「家庭との連携」といった共通の項目を整理し、5歳児のカリキュラムと、小学校のスタートカリキュラムを共通の視点で策定できるよう工夫する。

 同時に、架け橋期の教育の質を保障するため、モデル事業の実施地域でアンケート調査や実地調査を行い、カリキュラムの実施状況や子供の姿・子供の変化などの視点から、幼保小の接続に関する実態把握を進めるとともに、カリキュラムの効果検証や改善に必要なデータを取得する。

 これに対し、田村学委員(國學院大學人間開発学部教授)は「架け橋期の教育を確かなものとするためには、小学校の関係者に、できるだけこの場に参画してもらうことが大切ではないか。また複数の園と複数の小学校が絡んでくるので、架け橋期のカリキュラムについては、多様性に対応できるものを準備することが重要だ」と指摘した。

 また秋田喜代美委員(学習院大学文学部教授・東京大学名誉教授)は「幼児教育で重視されている『幼児期の終わりまでに育ってほしい姿』と合わせ、主体的・対話的で深い学びを踏まえた、小学校の先生が理解しやすい狙いを示すことが重要だ」と述べた。

 水野達朗委員(大阪府大東市教育委員会教育長)は「同じ子供を見ていても、幼稚園の先生が『好奇心旺盛で行動的な子』、小学校の先生は『自分勝手で我慢ができない子』と表現することがある。こうも見ている景色が違うのか、と驚く。見ている景色の違いをしっかり理解して、どう見えているかを理解するところから架け橋が起こってくる」と話した。

 それに対し久保山茂樹委員(国立特別支援教育総合研究所インクルーシブ教育システム推進センター上席総括研究員(兼)センター長)も「(幼児教育と小学校で)使っている言葉が違う。言葉遣いのすり合わせの活動も大切では」と応じた。

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