いじめ重大事態調査の中立性など、どう担保 有識者会議が議論

 いじめの重大事態への対応について検討している文科省の「いじめ防止対策協議会」は12月17日、今年度2回目となる会合をオンラインで開催した。日本弁護士連合会の村山裕委員が重大事態調査の課題や実態について、弁護士の視点から報告した。重大事態調査の中でいかにして「中立性・公平性・公正性」を担保するかについて、委員からは提案や意見が相次いだ。

重大事態調査の課題について議論する委員ら

 村山委員は、重大事態調査の目的を▽いじめ事実の全容解明(いじめ事案への対処、同種事案の再発防止)▽被害者側の知りたいとの思いに応える▽中立性・公平性・公正性▽民事・刑事上の責任追及などを直接の目的としない――と改めて整理した上で、各事案に則して「学校主体」「教委主体」「専門家の助言が必要か」など、調査主体や組織構成を客観的に見定める必要性を指摘。

 特に「中立性・公平性・公正性」の観点が不十分だと、当事者である児童生徒やその保護者の調査結果への不信につながったり、再発防止策の検討が遅れたりなど、調査自体が困難を伴うと警鐘を鳴らした。

 委員からも、この「中立性・公平性・公正性」についての指摘が目立った。

 池辺直孝委員(神奈川県立湘南高校長)は「キーワードは『中立性・公平性・公正性』。教委など学校設置者が調査主体となった場合でも、学校を指導する立場である以上、場合によってはこれらが担保されないという現実もあるのではないか。内輪の調査になりかねない。私たち現場は、一つ高い位置から調査しようという意識を常に持ち続けることを求められる」と、現場の意識の改革を訴えた。

 八並光俊委員(東京理科大学大学院理学研究科科学教育専攻教授)は、学校が主体となる調査委の在り方に対して疑問を呈した。「重大事態の中には、調査をしてみると学校や教員が責任を問われるケースもある。場合によっては、管理職や教員が懲戒処分を受けることもある。果たして、自分たちが自分たちを調査する中で、そこまでやり切れるのか」と危惧した。

 一方で金田淳委員(日本PTA全国協議会専務理事)は「いじめ被害者である児童生徒の保護者の話を聞いていると、『被害者側にも関わらず寄り添ってもらえない』という思いが不信につながっているように見える。中立性を保ちながらも、被害者側の気持ちに寄り添える役割が必要なのではないか」と、保護者の心情を代弁した。

 座長の新井肇委員(関西外国語大学外国語学部教授)は「『中立性・公平性・公正性』をどう担保していくか。そのために調査組織や事務局の在り方は、どうあるべきか。被害者側から信頼を得られない状況があることは、大きな課題だ」と、今後さらに議論を深める必要性を強調した。

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