地域とタブレットを活用したPBL 千駄谷小でシブヤ科の研究発表

 将来の東京・渋谷の活性化に向け、社会参画する意識と行動力を伴った人材を育成するために創設された「シブヤ科」の研究発表会がこのほど、渋谷区立千駄谷小学校(加納一好校長、児童343人)で開催された。シブヤ科は街における社会課題をテーマに、子どもたちが自分で解決法を考えていく課題解決型学習。同校では昨年度から研究指定校として、各学年で主に生活科や総合的な学習の時間を使い、企業や近隣施設と連携したさまざまな取り組みを行っている。

シブヤ科でできるようになったことについて友達と話し合う児童

 研究発表に先立って行われた各学年の公開授業では、これまでのそれぞれのシブヤ科の取り組みの振り返りや発表が行われた。

 3年生はネクタイ専門店ジラフとコラボレーションして、自分たちで考えた商品で千駄ヶ谷をもっと元気にしたいと「千駄ヶ谷元気プロジェクト」を進めてきた。ネクタイの布地の端切れを使った缶バッチをデザインするチームや、それをガチャガチャで販売するチーム、オリジナルのネクタイをデザインするチーム、チラシやポスターを作るチーム、余り布でネクタイ型のミニバックや給食袋を作るチームなどに分かれて活動を進め、それぞれの商品は製作が進んでいるという。

 シブヤ科の取り組みの中で出来るようになったことについて、子どもたちは「友達と分担したり、協力したりして進められる力がついた」「ポスター作りでまとめる力がついた」「理由を短く、分かりやすく書く力がついた」と自信に満ちた表情で発表。今後していきたいことについては、「もっとリーダーシップが取れるようになりたい」「友達のいいところを真似したい」「いろいろなお店と一緒にやってみたい」「これからも街を元気にするアイデアを考えたい」と話し、地域社会への参画の意識も芽生えていた。

3年生のプロジェクトで完成したネクタイ布地の端切れを使った缶バッチのガチャガチャ

 ジラフの担当者は「ネクタイ業界はクールビズやコロナ禍の影響を受け、お店のスタッフも元気をなくしていた。そこにシブヤ科でのコラボレーションがあり、子どもたちが放課後にも店舗に相談しに来てくれるなど、スタッフたちは本当に元気をもらっていた。私たちも本来の地域貢献の意義に改めて気付かせてもらった」と子どもたちとの関わりについて振り返った。

 その後の研究発表会では、地域との連携、他教科との連携、タブレットの有効活用を意識して取り組まれてきたシブヤ科について、同校研究推進委員長の橋本靖子主任教諭から発表があった。

 同校のある千駄ヶ谷は、SNSなど人気が高い飲食店やアパレル店舗が点在し、流行の発信地でもある。そうした企業や店舗とコラボレーションしてシブヤ科は行われてきたが、例えば5年生はスープ専門店のSoup Stock Tokyoの方をゲストティーチャーとして招き、食品ロスについて学んできた。橋本主任教諭は「プロの方から学ぶことで、子どもたちの熱量がぐっと上がった。プロから学ぶことが、子どもたちの探究活動の一つの大きな鍵になると確信した」と述べた。

 さらに、他教科と関連することのメリットについて、橋本主任教諭は「物事を多面的に捉えられるようになった。3年生では、国語科で学んだポスター作りや、報告書の作り方を活用し、オリジナル商品の説明書やポスター作りに生かしていた」と振り返った。

 また、タブレット端末も各学年の活動において有効活用された。例えば、3年生は課題解決に、6年生は思考を深めるために活用。ポートフォリオとして活動の様子や作品を残すことができ、それを見返すことで「出来るようになったことがたくさんある」と、児童の自信にもつながった。

 パネルディスカッションに登壇した同区教委の渡辺浩一教育指導課長は、同校のシブヤ科の取り組みについて、「これまでの知識を結び付けたり、地域の方の協力も得たりしながら、答えのないことをどう乗り越えていくかの練習の場になっている」と評価した。

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