不適切指導の事例盛り込みを要望 生徒指導提要改訂で遺族ら

 文科省の協力者会議で検討が進められている生徒指導提要の改訂について、教員の不適切な生徒指導によって自死するに至ったとする児童生徒の遺族らで作る「安全な生徒指導を考える会」は12月21日、文科省内で記者会見し、同省に要望書を提出したことを明らかにした。要望書によると、不適切な生徒指導が児童生徒に心理的な影響を与え、不登校や自殺にもつながることについて、具体的な事例を挙げながら生徒指導提要に盛り込み、学校現場の教員に浸透させて不適切指導の未然防止につなげることを求めている。

生徒指導提要の改訂に関する要望を説明する遺族

 安全な生徒指導を考える会は、札幌市内にある北海道立高校の吹奏楽部で顧問からの𠮟責(しっせき)が原因で自死したとする男子生徒の遺族や、鹿児島市立中学校で担任の個別指導が引き金となって自死したとする男性生徒の遺族、鹿児島県奄美市立中学校で担任の個別指導や家庭訪問での対応が不適切で自死につながったとする男子生徒の遺族らで構成。遺族同士の情報交換やオンラインシンポジウムなどの活動している。

 要望書では、不適切指導について「未然に防げるよう生徒指導提要の中で対策が示されることで、児童生徒が安心して学校に通えることにつながる」「問題行動の疑いがある場合に、適切な手順を踏んで指導の必要性や用いる指導方法を吟味することなく、理不尽な叱責(しっせき)が行われ、それが不登校や自殺にまで発展してしまう事案がいくつも発生している」と指摘。不適切指導について、具体的な事例を用いながら、不適切になってしまう背景や対策、子供に与える影響などを生徒指導提要で解説するよう求めた。

 その上で、不適切指導を受けた当事者や遺族の声をヒアリングするように要望。ヒアリングの内容として①児童生徒には適切な指導を受ける権利があること②生徒指導を行う際に児童生徒に弁明と意見表明の機会を与えることの重要性②提要に書いてある指導の手順や配慮が実行されることの重要性③不適切指導が児童生徒に対し心理的な影響を与え、不登校や自殺につながることもある--といった点を挙げた。

 文科省内で記者会見した遺族の一人は「遺族と呼ばれる立場になってから初めて生徒指導提要を読んだ。不適切な生徒指導を行った教員が、この内容をきちんと読んでいれば、理不尽なことは起こらなかったかもしれないと思った。そのくらい、生徒指導提要は学校現場の教員に浸透していない。教員が子供たちに対して決め付けや思い込みで指導していけば、その先、子供たちが追い詰められていくということを分かってほしい」と訴えた。

 文科省の協力者会議は11月26日の第5回会合で、生徒指導提要の目次構成などを確認。来年3月初旬をめどに改訂素案を示す。「生徒指導の基本的な進め方(第Ⅰ部)」「個別の課題に関する児童生徒への対応(第Ⅱ部)」の2部構成とし、第1部で総論、第2部ではいじめ、暴力行為など個別課題を取り上げる。公表は来年度になる見通し。

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