1人1台端末の年度更新 文科省がタスクリスト

 GIGAスクール構想により整備された1人1台端末環境で、来年度に向けて必要となる年度更新作業について、文科省は12月21日、タスクリストを全国の教育委員会などに通知した。(1)アカウント(ID)の更新(2)端末の更新(3)学習成果物などのデータの取り扱い(4)組織体制の整備――の4点について、教育委員会と学校が対応する項目を示した。ただ、実際は自治体によりシステムや組織の体制、事業者の関与などが多様であることから、自治体の実情に合わせて、教育委員会と学校の役割分担などを調整するよう求めた。

文科省が示したタスクリストの概要

 タスクリストでは、まず「(1)アカウント(ID)の更新」について、児童生徒の入学、進級、転出入、進学、卒業に伴うアカウント(ID)の登録、修正、削除などに関する作業の留意点を説明。グーグルやマイクロソフト、アップルのOSアカウントのほか、デジタル教科書や教材などのアカウントも対象に、更新作業の項目や担当者、全体スケジュールを見通した上で、必要な情報を収集し、自治体の運用方針に従って更新作業に当たる手順を例示した。

 次に「(2)端末の更新」に関しては、新年度の児童生徒数の増減に伴って学校間での配置を見直したり、端末の回収・初期化・再配布に関する方針を決めたりすることや、転出入・進学・卒業する児童生徒のデータ保存・移行を行った上で端末を回収し、新年度用の初期状態にするといった作業が必要だとした。

 また「(3)データの取り扱い」については進級・転出入・進学・卒業などの場面ごとに、学習成果物の扱いを定める方針を作成・運用することとした。進級する児童生徒には、進級後も自らの学習成果物を参照できるよう、アカウントの種類ごとにデータ移行や保存・破棄などを進めることとし、一方で卒業する児童生徒には個人アカウントに移行する、外部媒体に出力して提供するといった方針や作業の方法を指導することを求めた。

 最後に「(4)組織体制の整備」については、教育委員会、校長、ICT支援員などで、年度更新の方針やスケジュールを定める組織を作ることや、年度更新に関する作業体制を整えること、さらには全ての教職員に対して、年度更新に関する基本的な考え方・手順を示すことが重要だとした。

 同日開かれた「GIGAスクール構想に基づく1人1台端末の円滑な利活用に関する調査協力者会議」の第4回会合で、文科省の担当者は、「イメージしやすいよう、各自治体である程度共通して行わなければならない項目を挙げているが、状況は自治体や学校により異なる。実態に合わせて工夫をしてほしい」と強調した。

 タスクリストの中では、とりわけ「(1)アカウント(ID)の更新」で全体スケジュールを作ることが重要だとして、「システムにより、アカウントの更新作業の順序が決まっていることがある。日時や作業内容、作業者について、全体像を整理してほしい」と述べた。技術的な課題については、文科省の「ICT活用教育アドバイザー」も活用するよう呼び掛けた。

 今回の会合ではまた、先行してアカウントを整備しており、昨年度から今年度にかけて年度更新を経験した渡邊茂一委員(相模原市教委教育センター指導主事)も報告した。同市教委ではアカウントの管理の範囲や登録・修正・削除などの方針を定めており、グーグルアカウントなどについては教委が委託事業者と共に更新作業を実施。デジタル教科書などについては、各学校で計画的に更新するという役割分担をしていると述べた。

 昨年度はアカウント更新の際、中学校へ進学する子供に関する引き継ぎの失敗や苗字変更などの理由によるアカウント不明者が出たり、端末更新の際には、各校の端末回収のための予算措置をしていなかったために、教育センター職員が回収や配布に追われたりといった課題があったと話した。

 これに対し、委員からは「複数の自治体の取り組み例があるとよい。また失敗事例から、つまずきやすいポイントを共有するのも役立つのではないか」といった意見が挙がった。

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