教科担任制の新規加配950人で決着 教職員定数閣僚折衝

 大詰めを迎えている来年度予算編成を巡り、末松信介文科相は12月22日、鈴木俊一財務相と事前閣僚折衝を行い、来年4月からの小学校高学年の教科担任制導入に合わせた新規の加配定数について、来年度に950人、4年間で3800人の定数増を行うことで一致した。文科省は概算要求で来年度に2000人、4年間で8800人の定数改善を求めていたが、財務省は小規模校の中学校教員の活用による小中連携や、小学校内の授業交換などによって教科担任制に対応するよう求め、最終的に改善幅が圧縮されて決着した。文科省では、この新規加配により、小学校高学年の教員の平均的な授業持ちコマ数が3.5コマ程度減少すると算定している。

閣僚折衝の結果を説明する末松文科相

 閣僚折衝後に記者会見した末松文科相は、小学校高学年の教科担任制に950人のほか、中学校の生徒指導体制の強化などを合わせ、加配定数が1030人の改善となった、と折衝結果を説明。「専門性の高い教科指導を通じて、教育のさらなる質の向上を図るとともに、学校における働き方改革を実現するため、小学校における教科担任制を推進していくことが重要。さらなる学校の指導体制の充実を図るため、地方や学校の実情に応じた取り組みが可能となるよう配慮しつつ、小学校高学年における教科担任制を4年かけて推進したい。4年間の改善総数として3800人程度を見込んでいる」と、小学校高学年の教科担任制導入に意気込みを見せた。

 公立小中学校の教職員定数は、執行中の2021年度予算で68万8000人。内訳は、学級数などに応じて機械的に算定される基礎定数が63万8000人、政策目的に応じて配分される加配定数が5万人となっている。

 来年度予算案では、基礎定数については、35人学級を小学3年生に適用するために3290人、発達障害などの児童生徒に対する通級指導や外国人児童生徒に対する日本語指導教育の充実のために370人を改善することが、義務標準法によってすでに定められている。

 このため、来年度予算編成の折衝では新規の加配定数が焦点となった。文科省は小学校高学年の教科担任制について、2025年度までに自治体が段階的に必要な教員を確保していくことを想定。8月の概算要求で来年度に2000人、4年間で8800人の加配定数を要求。これとは別に、中学校における生徒指導、小中一貫・連携教育への支援、学校運営体制、チーム学校の実現に向けた指導体制の整備など「学校における働き方改革や複雑化・困難化する教育課題への対応」として計475人の加配定数を求めた。

 この加配定数を巡る文科省と財務省の折衝は、4年間で8800人という教科担任制を巡る増員枠の取り扱いが最大の焦点となった。末松文科相によると、授業の持ち時間が比較的少ない小規模校の中学校教員が近隣の小学校で専科指導を行う小中連携で800人分、さらに中規模校・大規模校の小学校では教員の授業交換によって専科指導を行えるとして4000人分を算定するなどして、最終的には4年間の増員枠を3800人とすることで両省が歩み寄った。来年度予算案では、初年度として3800人の4分の1に当たる950人を計上する。

 翌年度以降の新規加配定数については、基礎定数を定めた義務標準法のような法的な裏付けがあるわけではない。だが、文科省初等中等教育局の村尾崇財務課長は「予算は単年度主義なので毎年度折衝していくが、4年間で3800人を計算した上で来年度予算案では950人という数字をはじき出しているので、財政当局との間では、今後4年間続けていくことを前提にするという、共通理解を持っている。翌年度以降の新規加配定数の確保には、一定のめどが立ったと考えている」と説明している。

 文科省では、4年後に3800人の新規加配が実現すると、小学校高学年の教員の平均的な授業持ちコマ数は3.5コマ程度減少するとみている。2016年度学校教員統計調査を元に、小学校教員1人当たりの平均担当授業時数を文科省が算定したところ、各学年1クラスの6学級校では週23.7コマ、各学年2クラスの12学級校では週24.6コマ、各学年3クラスの18学級校では週24.1コマだった。文科省では「3800人の加配によって、いま週24.6コマの授業を持っている教員は、週21コマくらいになる。もともと8800人の新規加配で目指していた5コマ程度の削減には及ばないが、一定の意味がある削減がなされると思っている」と理解を求めている。

 また、「学校における働き方改革や複雑化・困難化する教育課題への対応」として475人を要求した新規加配定数については、財務省との折衝で180人が認められた。ただ、このうち小中一貫・連携教育への支援については「教科担任制による加配定数には、小学校と中学校が連携して、例えば中学校の理科の先生が小学校に来て教える、といったことが含まれる」(村尾課長)として、100人分が教科担任制への新規加配とのダブルカウントになると見なされた。950人に180人を足し、ダブルカウント分100人を差し引いた結果、来年度予算案の加配定数は1030人で落着した。

2022年度予算案における教職員定数の改善内容

 こうした折衝の末、来年度予算案の義務教育費国庫負担金は、前年度よりも149億円減の1兆5015億円となることが決まった。教職員定数の改善は計4690人(基礎定数=小学校における35人学級の推進・小学3年生分3290人、通級指導や日本語教育指導の充実370人、加配定数=教科担任制の推進などで1030人)。一方、学級数の増減などに応じた自然減で6912人、教員数配置の見直しで280人が減る。これらを差し引いて、教職員定数は前年度に比べて2502人減となる。

 この結果について、末松文科相は「厳しい財政事情の中であるが、わが国の未来を担う子供たちへ大胆に投資することは極めて重要。鈴木財務大臣には『教師になりたい人が減ってきているという実態を見てほしい。教員の働き方改革に理解を示してほしい』と申し上げた。文科省も(教員の)職場改善に努めているので、ご理解いただきたい」と述べた。

【お詫び】表の中で、基礎定数の合計の数字が3360人とあったのは、3660人でした。

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