家庭への支援など巡り議論 不登校に関する有識者会議

 不登校の児童生徒への支援策を検討している文科省の有識者会議の第3回会合が12月21日、オンラインで開かれ、独自の手法で子供や家庭を支援している取り組みについて、復学支援をする団体が報告した。また、年度内の取りまとめに向けた今後の論点を巡って意見が交わされ、委員から「地域と連携した家庭支援で成果を挙げたことがあるが、現在の体制では難しく、条件整備を考える必要がある」「中学になると不登校が増える『中一ギャップ』と、制度上の問題との関連を考えたい」などといった意見が上がった。

オンラインで行われた有識者会議

 「不登校に関する調査研究協力者会議」は、小中学校の不登校の児童生徒が19万人(2020年度)と過去最多になった中、新たな支援策を検討するために今年9月に設置され、不登校に関する総合的な施策について年度内の取りまとめを目指している。

 同日は、大阪を拠点に不登校の児童生徒の復学支援などに取り組んでいる(一社)家庭教育支援センターペアレンツキャンプの佐藤博代表カウンセラーが、家庭支援の取り組み状況や課題について報告。佐藤代表は、同団体が支援した家庭の99%は最初に公的機関の窓口に相談していたことに触れ、同団体が公的支援では解決できないケースの受け皿となっていると述べた。

 また、支援に当たる児童生徒の復学に向けて、1家庭に1人の復学支援カウンセラーがつき、親子のコミュニケーション状況を記録した「家庭ノート」を記入してもらいながら不登校の背景や原因を分析し、家庭に合ったアドバイスで子供や家庭を支えている活動内容を紹介。最終的には復学だけでなく、子供の社会的な自立も目指していると強調した。

 一方で、家庭への経済的な負担がかかることや、いじめなどのケースは対象外となるなど支援可能なケースが限られるという課題があるとして、学校や地域とも連携が取りやすい行政の活動の活性化が必要だと指摘した。

 続いて会合では、重点的に取り組むべき施策の方向性を考える上で議論すべき論点について、各委員が意見を述べた。

 笛木啓介委員(東京都大田区立大森第三中学校長)は「不登校の子供たちの情報について、守秘義務を前提に地域の民生委員などとも共有しながら家庭への支援を行ったところ、不登校の生徒が大きく減った実績があった。しかし、いろいろ取り組みたくても今の学校の体制では難しく、教員も時間が足りない。条件整備も考えなければいけない」と述べた。

 斎藤環委員(筑波大学医学医療系教授)は、中学1年生になると不登校が増える「中一ギャップ」に言及し、「中学になると教師の態度が急にきつくなるとか、年功序列や校則が増えるといった抑圧の行動の増加が原因ではないかという指摘もある。こうした制度上の問題も検証して、しっかり考えた方がいいと思う」と語った。

 江川和弥委員(NPOフリースクール全国ネットワーク代表理事)は「不登校に関して子供たちが相談する相手として、親の比率が高いという報告があったが、子供の不登校に悩んだ親にはノウハウの蓄積があるのに、それが個人にしか残らず共有されない状況がある。親が同じことで悩むことがないよう、初歩的な対応を一般化できないかと思う」と提案した。

 野田正人座長(立命館大学大学院人間科学研究科特任教授)は「2年前に過去の不登校に関する会議の報告を基にした通知が出されているが、それが現場で十分吟味されているかも見て、新たに加えたり修正したりするという手法もあると思う。こうしたことも基本に置きながら、委員の意見を踏まえた取りまとめを考えていきたい」と締めくくった。

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