校内研修など多様な学びを受講履歴に 中教審で議論開始

 中教審の「令和の日本型学校教育」を担う教師の在り方特別部会と基本問題小委員会、初中教育分科会教員養成部会の合同会議が12月22日に開かれ、教員免許更新制の事実上の廃止が決まったことを受けて、「新たな教師の学びの姿」を実現する研修の在り方などを議論した。この中で文科省は、新たに導入される教員の研修履歴を記録するシステムに、校内研修を含めた多様な学びを記録することも可能とする案を示し、教職員支援機構理事長の荒瀬克己委員も「学校のスクール・ポリシー策定や進路検討会など、さまざまな発想から校内研修を考えることができるのではないか」と意見を述べた。一方、委員からは「新たな管理が始まると誤解されないようにすべきだ」などと、新たな制度では教員の意欲や自主性を引き出すイメージを示すことが必要だとする意見が相次いだ。新たな制度を巡る議論は今後、基本問題小委員会で専門的に進められ、来年夏ごろに一定の結論が示される見通し。

新たな教員研修の在り方を議論した合同会議の渡邉光一郎部会長

 基本問題小委員会の初会合も兼ねた同日の合同会議では、新たな研修を巡って集中的に議論が交わされ、はじめに文科省が研修受講履歴を活用した新たな教師の学びの姿を示す案を示した。この中で、受講履歴に記録する範囲として、①任命権者実施研修・講習、大学院修学休業は必須②職務研修など職務内容に関する研修は可能な限り記録(校内研修・研究等)③任命権者の判断によって、①②以外の研修も含めた多様な学びを記録することも可能――との案を示した。また、受講奨励の方法と時期については、人事評価の期首面談や期末面談の場を活用するなど、現場の負担が増えないよう各学校に適した機会を活用することとした。

 これまでの議論の経緯を踏まえた「研修の校内推進体制」についてもたたき台となる案として、▽校長のリーダーシップの下、主体的・自律的な研修に向けた全校的な推進体制を整えることを明確化する▽校内で教員研修の中核的な役割を担う分掌を制度上、明確化すること(例・「研修主任」)▽「研修主任」(仮称)は校長等の学校管理職を補佐しつつ、校内研修計画の企画立案や研修・研究に関する連絡調整、助言等が考えられる――などを示した。

 続いて、新たな研修制度の仕組み作りで中核を担う教職員支援機構理事長の荒瀬委員が、校内研修の在り方などについて報告した。荒瀬委員は、学校外での学びも当然重要だが、教師は現場で育ち、学びの軸は学校にあると、校内研修の充実の必要性を強調。具体例として、「スクール・ポリシーの実質化に向けてどう取り組むかや、高校生にとって大きな選択となる進路検討会などを振り返り、生徒をいかに多角的多面的に見ていくかなどもテーマとなり得る。こうした発想がとても重要で、実は大事な研修の場はたくさんある」と話し、学校現場の多様な学びを研修として生かしてほしいとの思いを語った。

 各委員も意見を述べ、中原淳委員(立教大経営学部教授)は「新たな研修制度の仕組みが前に出過ぎて、現場では新たな管理が始まると誤解されている面もある。まず新たな教師の学びをどうイメージさせるか、教師が研修で何を学んでいくかを論じるべきだ。また、子供がデジタルで学ぶなら教師もデジタルで学ぶなど、教師と子供の学びを同期していくことも大事であり、その上で足りないものを学ぶのが研修だと思う」と指摘した。

 専門委員として出席した橋本幸三・京都府教委教育長は「示された案が、校長による管理強化の仕組みと見えてしまう面があるが、教員の厳しい勤務や多忙さに十分配慮しつつ、意欲を高め、主体的に選択できるよう支援を行う仕組みであるべきだ。前向きでよりよい研修を実行できるというイメージを強調してほしい。また、京都府は独自のシステムで年間500万円以上のコストがかかっているが、国で統一的なものを構築してもらえると合理的だと思う」と述べた。

 岩本悠委員(地域・教育魅力化プラットフォーム代表理事)は「現場経験を含む多様な学びを研修の機会とする考えには大賛成だが、それをシステムに記録させることが学校や教員の学びを豊かにすることに効果的なのかどうかのイメージがつかない。学校現場の負担を増やすことにつながる気もするが、それ以上のメリットがあるか伺いたい」と質問した。

 これに対して荒瀬委員は「システムへの記録は、必須についてはこれだけ、後は自由にという意味合いで運用することが大事であり、厳密にする必要はないと思う。ただ、先生自身は自身の学びとして記録した方がいい。学習指導要領でも記録の大切さに触れており、そこを教委や校長も理解しながら進めてほしいと思う」と述べた。

 基本問題小委員会は今後、教員の養成や採用などについても専門的に議論を深め、来年夏ごろをめどに一定の結論を示す方針。

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