教職員の時間外労働が改善 過労死ライン超えも依然多く

 学校現場の働き方改革が社会問題になる中、教職員の長時間勤務が少しずつ改善されている状況が12月24日、文科省が全国の教育委員会に行った学校の働き方改革を巡る取り組み状況の調査で明らかになった。時間外勤務が法律上の上限である月45時間以下となっている割合を学校行事などが少ない5月で経年比較すると、小学校で2019年の48.2%から21年の64.0%に、中学校で同じく33.5%から47.0%に、高校で同じく52.1%から66.1%に改善した。一方、過労死ラインの目安とされる月80時間を超える時間外勤務を行っている教職員は、21年5月時点で小学校3.2%、中学校13.0%、高校9.6%で、依然として多いことも分かった。教職員の働き方改革はまだまだ道のりが長いという実態が読み取れる。

 末松信介文科相は12月24日の閣議後会見で、教員の時間外勤務の状況について、「時間外勤務は、2018年度以降、おおむね改善傾向にある。働き方改革の成果が着実に出つつあるものの、依然として長時間勤務の教職員も多い。働き方改革は引き続き急務であると認識している。国、学校、教育委員会が連携して、教師が教師でなければできないことに全力投球できる、その環境を整備するために取り組みを加速していきたい」と述べた。

教職員の時間外勤務の経年変化(5月で比較)

 時間外勤務に関わるデータは18年以降、4月から8月まで月別で集計されているが、20年には新型コロナウイルス感染症による長期休校や分散登校などがあったため、比較しにくい。このため、学校行事や夏休みなどの影響が少ない5月で、19年と21年の経年変化を学校種別で比較してみると、時間外勤務が月45時間以下となっている割合は、小学校では15.8ポイント増えて64.0%、中学校では13.5ポイント増の47.0%、高校では14.0ポイント増の66.1%だった=グラフ参照。20年は小学校で88.0%、中学校で86.6%、高校で94.1%が月45時間以下で、コロナ禍による長期休校で教職員の時間外勤務が一気に減っていたことが分かる。

 一方、月80時間を超える時間外勤務を行っている教職員の割合を、同様に5月で比較してみると、18年には小学校で18.7%、中学校で37.3%、高校で30.0%にも達していた。月80時間を超える水準は過労死ラインの目安とされ、この状態が2~6カ月続くと病気や死亡、自殺に至るリスクが高まる。21年5月時点では月80時間を超える時間外勤務を行っている教職員は小学校で3.2%、中学校で13.0%、高校で9.6%に改善した。それでも21年5月時点で、中学校では教職員7.7人に1人、高校では教職員10.4人に1人が過労死ラインを超える時間外勤務を行っていた計算になる。

 こうした調査結果について、取りまとめにあたった文科省初等中等教育局の村尾崇財務課長は「働き方改革は、国がやれること、教育委員会がやれること、学校でやれること、それぞれがある。これだけやれば解決するといった特効薬はないので、みんなが積み重ねていくしかない。そうしたこれまでの積み重ねが全く効果がないかというと、そんなことはなく、効果は出てきていることが、今回の調査結果で分かるのではないか。今やっていることが無駄なのではない。ただ、これで十分かと言われれば、まだまだやっていく必要があるというのが、今回の調査のメッセージではないかと思っている」と説明した。

 文科省では、22年度に教員の労働環境を詳しく調べる勤務実態調査を6年ぶりに行い、これまでの働き方改革や給特法(公立の義務教育諸学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法)の改正によって21年4月から導入された変形労働時間制の効果などについて検証作業を行い、今後の法改正につなげることを想定している。

 今回の調査は各教委や学校での働き方改革の進捗(しんちょく)状況を把握するとともに、市区町村別の結果や取り組み事例の公開を通じて、働き方改革の取り組みを促すため、文科省が16年から行っている。調査対象は公立の幼稚園~高校の教職員の服務監督をする全1793の教委・事務組合で、それぞれが所管する学校に対する取り組み状況を回答する。今年度の調査基準日は21年9月1日時点。

 時間外勤務の経年比較については、人口の多い自治体も少ない自治体もそれぞれ1自治体としてデータを算出しているため、自治体数の多い小規模な自治体の傾向が強調されやすくなる。また、調査年度に詳細な勤務実態を把握できていた教育委員会のみのデータであるため、文科省ではあくまで参考値としている。詳細な勤務実態を把握できていて、調査に回答した教育委員会は、全1793のうち、2018年716、2019年1006、2020年1314、2021年1463だった。

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