通信制高校、実態把握に課題 文科省有識者会議で指摘

 「令和の日本型学校教育」の実現に向けた通信制高校の在り方を検討する、文科省の調査研究者会議の第4回会合が12月24日、オンラインで開催された。通信制高校の所轄庁を対象にした実態調査結果(速報版)が公表され、都道府県単位で所轄する困難さと、各校の学習内容や生徒実態について十分に把握できていない実態が明らかになった。

 通信制高校を巡ってはこれまでの会合で、一部の学校で不適切な学校運営や不十分な教育活動が見られることが課題となっていた。また、広域通信制高校の「サテライト施設」が所轄する自治体の圏域を超えて全国に設置されているため、指導監督体制の不備も指摘されていた。同調査はそれらの実態を把握するために、各都道府県の私学担当課などを対象に、今年4月1日時点の状況を尋ねた。

 調査結果によると、通信制高校の認知許可や指導監督などを担当する各都道府県の職員数は、「1人」が13自治体、「2人」が18自治体、「3人」が9自治体、「4人以上」は6自治体だった。全都道府県の平均は2.3人に留まり、通信制高校の需要が高まる一方で、自治体が人員不足に陥っている現状がうかがえた。

 通信制高校の本校(実施校)に対して実態調査をしていたのは32自治体、実施していないのは10自治体だった。

 さらに都道府県内にある他の所轄庁が認可したサテライト施設について、所在や教育内容について把握しているか尋ねたところ、回答のあった43都道府県のうち「把握していない」が74%に上った。「把握している」が7%、「一部把握している」が19%にとどまり、学校実態が十分に把握できていない実情が浮き彫りとなった。

 調査結果を踏まえ、広域通信制高校6校(さらに2校を計画承認)と狭域通信制高校2校を抱える千葉県が実態を報告。通信制高校担当は1人体制で、私学担当の通常業務に加え、通信制高校の指導監督や設置基準の改正などの対応にも当たるというひっ迫した現状を説明した。

 また、それを踏まえ、▽生徒数の多さや、生徒在住地が全国・海外に及ぶため、県単位による体制には限界がある▽県担当職員の専門的スキルの限界▽全国に及ぶ制度であるにも関わらず、都道府県による指導監督の差が教育の質に格差を生む可能性――と課題を整理。「国が全国一律で教育の質を確保するための、基準・調査・組織を設けるべきだ」と提案した。

 委員からは、各都道府県が所轄庁を担う難しさについて指摘が相次いだ。

 吾妻俊治委員(東海大学付属望星高等学校長)は「まずは、各通信制高校が自助努力することが大切。各校が通信学習実施計画を公表し、教育内容を明らかにしていくことが必要だ。また各校が所轄庁に情報共有しながら、進めていかなければならない」と強調した。

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